self-healing-asphalt

エリック・シュランゲン 自己修復能力をもったアスファルト

「多孔質のアスファルト舗装を使えば、修理コストや騒音などの問題を解決できます」シュランゲンは語りかける。ここでは、80万ビューを超える Erik Schlangen のTED講演を訳し、スチールウールと誘導加熱によって修復するアスファルトについて理解する。

要約

鋪装の行き渡った道路は見た目には素敵ですが、簡単に破損してしまい、修理コストがかさむものです。エリック・シュランゲンが、どこにでもある素材を利用して作った、驚愕の特性を備えた新たな多孔性アスファルトのデモをお見せします。なんと、破損しても誘導加熱を加えることで「修復」するのです。(撮影場所: TEDxDelft)

Erik Schlangen is a civil engineer and pioneer of experimental micromechanics, who focuses on making industrial materials more durable.

 

1 アスファルトは運転には快適だが、常に良いとは限らない

(ハンマーの音)(笑)(電子レンジの操作音)(笑)。この写真の道路は きれいに舗装された 道路ですね。これはアスファルト製のものです。アスファルトという素材は運転には快適ですが でも常に良いとは限りません。例えば今日の様な どしゃぶりの日など 路面に水が溜まり水がはね放題です。こういう時に自転車に乗っていて 横を車が通ったりするともう最悪ですね。アスファルトのもう一つの欠点は騒音です。うるさい素材なんです。オランダの都市部の近くでは 静かな道路が望まれます。

 

2 水はけの悪さや騒音を解決するのが多孔質アスファルト

これらの問題を解決するのがポーラスアスファルト 多孔質のアスファルト舗装です。現在 オランダの幹線の ほとんどで ポーラスアスファルトという素材が使われています。この素材には空隙がたくさんあり 雨水は全て路肩に流れるので 運転も楽になりますし 水はねの心配もなくなります。更に この溝のおかげでノイズもなくなります。たくさんの空隙が走行音を吸収してくれます。つまり とても静かな道路になるんです。

 

3 問題点は表層の剥離

しかし もちろん良いことばかりではありません。問題点は表層の剥離です。剥離とは こちらの画像のように 表面の砂利が剥がれてしまうことです。砂利や砕石が 最初は1つそこから 徐々に少しづつ 次第にどんどん剥がれていき 最終的には…皆さんにはぶつけませんよ(笑) でも フロントガラスには傷がつきます。これは好ましくありませんね。剥離が さらに進んでしまうと ここから窪みができることもあります。彼は釣りを楽しんでいますね。

 

4 スチールウールと誘導加熱機によって、アスファルトに自己修復能力を付与できる

窪みも もちろん問題になりますが 解決策をご紹介します。こちらはダメージを図式化したものです。このアスファルトは多孔質であるため 砂利間の結合材の量は少ないんです。風化、紫外線、酸化が原因となって 結合材となっている アスファルト自体が収縮すると 小さな亀裂が生じ 砂利から浮いてしまいます。この上を車が走れば砂利がとれてしまいますから 先程見たような光景になってしまうんです。この問題の解決に向けて自己修復性アスファルトを思いつきました。アスファルトに自己修復能力を付与できれば 問題解決となるかもしれません。さて 具体的にはフライパンをこするスチールウールを使います。まずは これを細かく切り刻みます。そしてアスファルトに混ぜ込むと スチールウールの破片入りの アスファルトが出来上がります。次に必要なのがこのような機械です。調理にも使われる誘導加熱機です。誘導による発熱は特にスチールで効果的です。さて スチールが加熱されると アスファルトが溶けます。溶けたものが ひび割れに流れ込み 砂利がまた表面に固定される仕組みです。

 

5 4年ごとに道路を修復することで道路の寿命を2倍に延ばせる

本日はこのステージ上で大型の誘導加熱機は使えませんので 電子レンジで代用しています。電子レンジでも似たようなことができます。中に入れておいたサンプルを取り出しますよ。どうなっているでしょうか。こちらが過熱しておいたサンプルです。ラボにはサンプル加熱用の大型のものがあると お話しましたが これを使って いろいろなサンプルをテストしました。政府はこの結果に興味を示し 実際に試せるかということになり 試験用の道路を作って この素材をテストが出来るよう国道A58の一部 400 m を割り当ててくれました。これが試験用の道路を作っている所です。もちろん この道路は破損なしに数年はもつはずです。これが実環境でのテスト結果です。この道路からたくさんのサンプルを採取して ラボでテストを行いました。サンプルで耐久テストを行い 負荷をかけては誘導加熱機で修復しました。修復後 またテストをし これを何回も繰り返します。この研究から分かったことは 4年に一度 道路に出向いて 私たちが製作した大型の 誘導加熱機と共に 4年ごとに 道路に出向き 修復することで この道路の寿命を2倍に延ばせるんです。これは大きなコスト削減になります。

 

6 ちょっとした工夫で大幅なコスト削減が見込める

結論ですが 私たちはスチールウールと 誘導エネルギーを利用して機能する 新素材を作り上げました。 これで道路の寿命を延ばせるんです。2倍にまで伸ばすことが可能です。つまり ちょっとした工夫で大幅なコスト削減が見込めます。さて こちらの方も上手く行ったか気になりますね。こちらがサンプルですがまだ かなり暖かいです。上手く融着したか お見せする前に 本当は冷まさないとだめですが 試しに見てみましょうか。どうでしょうか、くっついていますね。ありがとうございました (拍手)

 

最後に

スチールウールと誘導加熱機によって、道路の寿命は2倍に伸ばせる。活かすも殺すも規制次第

和訳してくださった Takahiro Shimpo 氏、レビューしてくださった Takafusa Kitazume 氏に感謝する(2013年2月)。


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