self-organization

スカイラー・ティビッツ 自己構築する物をつくる事は可能か?

「自己組織化とはDNAのようにモノが自分自身を作るというものです」スカイラーは語りかける。ここでは、70万ビューを超える Skylar Tibbits のTED講演を訳し、自己組織化による空間コンピューティングの未来について理解する。

要約

MIT研究者のスカイラー・ティビッツは自己組織化と呼ばれる、DNA鎖が自身を結合するように、何かをつくる(椅子や、超高層ビル)代わりに物が自身をつくるというアイディアに取り組んでいます。これは初期段階における大きなコンセプトです。ティビッツは3つの研究室内のプロジェクトを通して自己組織化の未来の展望を紹介します。

Skylar Tibbits, a TED Fellow, is an artist and computational architect working on “smart” components that can assemble themselves.

 

1 建物や機械は自ら複製や修復をするようになる?

今日は皆さんに ものづくりの未来をお見せします。私はやがて建物や機械が 自己組織化するようになり 自ら複製や 修復をするようになると信じています。これから 私が信じる 物づくりの現状と それらに対する自然界のシステムを比較します。物づくりの現状として 高層ビルが例に挙げられます。建築期間は2年半 部品数は50万から100万個 かなり複雑であり 鋼鉄やコンクリート ガラスにおける最新の素晴らしい技術でできています。私たちが持つ宇宙に運ぶ 素晴らしい機械は 製造期間が5年 部品数は250万個です。

 

2 自然界のシステムを取り入れる鍵は自己組織化

一方で 自然界のシステムに目を向けると 200万種類もの タンパク質が 1万ナノ秒のうちに折り畳んだり 30億塩基対のDNAが およそ1時間以内に複製が出来たりします。このように自然界のシステムには こんなに多くの複雑性が存在していますが これらは極めて効率が良く 私たちがつくるものよりもはるかに 効率的で複雑なのです。エネルギーの観点からもずっと効率的です。これらは滅多にミスをしません。そして状態を保つ為に自己修復が可能です。このように自然界のシステムには大変興味深い点があります。そしてこれらを 私たちの構築した環境に取り入れられれば 物づくりに面白い可能性が備わります。そしてその鍵となるのは自己組織化です。

 

3 自己組織化にはDNA、部品、エネルギー、保証の4つの要素が必要

物理環境において自己組織化を活用する場合 4つの要素があると考えます。1つは 建物や機械などといった 私たちが作りたいあらゆる複雑なものを 復元する必要があります。そして簡単な配列に復元する必要があります。つまり建物がどのように機能するかといったDNAです。次にそれらの配列を用いて 折り畳んだり 再構成するための プログラム可能な部品が必要です。それらを稼働させ 部品をプログラムによって 折り畳めるようにするためのエネルギーが必要です。そして 一種の冗長なエラー修正機能によって 望んだ物がうまく組み立てられたか保証するものが必要です。

 

4 「MacroBot」「DeciBot」プロジェクト

それでは 私と私のMITの同僚たちが この自己組織化した未来を実現するために 取り組んでいるプロジェクトを紹介します。始めの2つはMacroBotとDeciBotです。これらは大型の再構成可能ロボットで 縦幅2.5メートル 横幅3.5メートルもの物体で構成されています。機械電子機器やセンサーが内蔵されており 実現したい折り畳み方法を 角度を表す配列で復元します。マイナス120度 マイナス120度 0度 0度 120度 マイナス120度 といった感じです。このような角度を表す配列に 配線を通してこの配列を送信します。それぞれのユニットがこのメッセージを受信し マイナス120度なら このように回転し 到達したか確認後 次のユニットの入力待ちとなります。

 

5 デジタルロジックゲートを部品の中に直接組み込んでいる

彼らがこのプロジェクトに参加している 素晴らしい科学者やエンジニア そしてデザイナーです。私は本当に実現すると考えています。これは本当に拡張性があるでしょうか? この2.5メートルものロボットの製作に 膨大なお金と 手間がかかりました。本当にこれが拡張し 全ての部品にロボット工学を組み込めるでしょうか? 次のロボットでは それを命題に 受動的な性質 もしくは 受動的に再構成プログラミング能力を獲得させようとしています。さらに一歩進んで 実際に演算能力を持たせようとしています。これにコンピューティングの最も基本的な 要素であるデジタルロジックゲートを 部品の中に直接組み込んでいます

 

6 ユーザーが部品の動作を指示することができる

これがNANDゲートです。コンピューティングを行うゲートである 四面体が1つあり 2つ入力用の四面体があります。一方が部品を組み立てるユーザーの入力用に使われ もう一方が前に設置された部品の入力用です。そして3次元空間上に出力を行います。これが何を意味するかというと ユーザーが部品の動作を指示することができるということです。これは前に行ったことと ユーザーの指示を演算します。そしてこのように3次元空間を 上下に動き始めます。左側では 入力[1,1]は 出力0のため 下に向き 右側では 入力[0,0]は 出力1のため 上に向かいます。これが本当に意味するのは この構造物には 今や私たちが作りたい物の 設計図が含まれているということです。

 

7 作り上げられるべき物の全ての情報が組み込まれている

作り上げられるべき物の全ての情報が組み込まれているのです。これはつまり 自己複製のようなことが行えることを意味します。このようなものを私は 自己誘導複製と呼んでいます。これに完全な設計図が含まれているからです。エラーがあれば 一部を取り替えることができます。全ての局所情報は修復用に組み込まれています。従って例えば 平行して動作し データを読み込み 出力を行うようなことができるでしょう。情報は直接組み込まれており 外部命令に依存しません。

 

8 再構築機能を持ち、プログラミング要素があり、完全に受動的なシステムのBiased Chains」

最後にお見せするプロジェクトは Biased Chainsと呼びます。これは おそらく受動的自己組織化システムにおける 最も面白い例であるといえます。再構築機能を持ち プログラミング要素があり 完全に受動的なシステムです。物体の鎖があるとします。それぞれの物体は全く同一であり それらは偏っています。それぞれの鎖 もしくは物体は 左右に動こうとします。鎖の組み立ては 基本的にはプログラミングに相当します。それぞれのユニットに左に曲がるか 右に曲がるか伝えているのです。そして鎖を振ると プログラムした あらゆる構造に折り畳まれます。この場合は 螺旋ですし この場合では 2つの正四面体が重なっています。このようにあらゆる 3次元形状 もしくは1次元 2次元のものを この鎖で受動的にプログラムすることができます。

 

9 建築や橋、機械などあらゆる部品が演算能力を持つようになる

では これが示す未来とは何でしょうか? 私が思うに これによって 物理的構造や建築 機械に対し自己組織化や 複製 修復といった新たな可能性をもたらすと考えます。これらに新しくプログラミング要素が付与され コンピューティングの新しい可能性が生まれるのです。空間コンピューティングが可能です。建築や橋 機械などあらゆる部品が 演算能力を持つことを想像してください。並列で分散的な驚くべき演算能力であり 新しいデザインの可能性が広がります。このようにこれは素晴らしい潜在能力を持っています。ご紹介したこれらのプロジェクトは そんな未来に向けてのほんの小さな一歩です。これらの新しい技術を新たな自己組織化世界に 向けて導入できればと考えます。ありがとうございました(拍手)

最後に

自己組織化にはDNA、部品、エネルギー、保証の4つの要素が必要。「MacroBot」「DeciBot」「Biased Chains」プロジェクトから、自己組織化や複製、修復の可能性が生まれている。建築や橋、機械などあらゆる部品が演算能力を持つ、空間コンピューティングの未来

和訳してくださった Yuki Okada 氏、レビューしてくださった Hidetoshi Yamauchi 氏に感謝する(2011年2月)。

自己組織化とは何か 第2版―自分で自分を作り上げる驚異の現象とその応用 (ブルーバックス)


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