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レイチェル・アームストロング 自己修復する建築?

「イタリアのベネチアの沈没を防ぐには、自分で成長する構造物を作らなくてはなりません」レイチェルは語りかける。ここでは、75万ビューを超える Rachel Armstrong のTED講演を訳し、自己修復とする建築について理解する。

要約

イタリアのベネチアは沈みかかっています。レイチェル・アームストロングは、それを救うには、不活性素材での建築から脱却し、自分で成長する構造物を作らなくてはならないと言います。彼女は、生物とまでは言えないが、自己修復し、炭素も吸収分離する素材を提案します。

TED Fellow Rachel Armstrong is a sustainability innovator who creates new materials that possess some of the properties of living systems, and can be manipulated to “grow” architecture.

 

1 ビクトリア時代の技術の建物は持続可能ではない

今日に建物に共通していることがあります。ビクトリア時代の技術で建てられているのです。青写真があり、 工業的製造があり 作業員のチームが建設します。出来上がるのは不活性の物体です。それはつまりエネルギーが一方向に、自然界から 私達の家や都市へ移転される事を意味しています。この方法は持続可能ではありません。私達が、真に持続可能な家や 都市を建設する唯一の方法は それらを自然とつなげることで 切り離す事ではありません。

 

2 代謝する物質を建築に使うことが必要

それを成し遂げるためには、正しい言語が必要です。生きているシステムは 代謝と呼ばれる化学反応を通じて 常に自然界と会話していています。エネルギーの産出や吸収によって ある物質が 他の物質に変化するのです。そしてこれが、生きている物質が 持続可能な形で、周辺の資源を 利用する方法です。そこで私は、代謝する物質を 建築に使う事に興味を持ちました。でもそんなものは存在しません。作らなくてはなりませんでした。

 

3 新素材を作るシステム「プロトセル」

わたしはバートレット建築学校で 建築家ニールスピラーと仕事をしています。そして国際的に、科学者たちと共同作業を行い ボトムアップ方式で、このような新素材を 作っています。つまり全くゼロからものを作っているという事です。協同メンバーの一人は化学者のマーチンハンザックで、 彼は、不活性物質が活性化する過程に とても興味を持っていました。それは、持続可能な素材を考える時、 私が一番興味を持った行程です。

マーチンは「プロトセル」というシステムを扱っています。これらすべてとそのマジックは 小さな脂肪性の袋と、その中身の化学メカニズムによります。DNAはありません。この小さな袋は、まさしく生きているとしか 言いようのない振舞いをすることができます。環境内を動き回ることができます。化学的な濃度勾配に沿って移動できます。複雑な反応を行うことができ、 その一部は実に建築的です。これがそのプロトセルです。環境をデザインしています。どうやってこれを作っているか、まだわかっていません。ここにもプロトセルがあり、盛んに脱皮しています。これは化学物質の「誕生」のようです。これは暴力的なプロセスです。

 

4 大気から二酸化炭素を取り出し炭酸塩に変えるプロトセル

こちらは、大気から二酸化炭素を取り出し 炭酸塩に変える プロトセルです。これが、脂肪の袋の周りの殻です。とてももろいので一部しかありませんが つまり私達はこの技術を押し進めて ボトムアップ的な建築アプローチを 行い、 ビクトリア時代的な、トップダウンの、物質に構造を 押し付ける方法に対峙しようとしているのです。ビクトリア型はエネルギー的に良識がないボトムアップ型素材は 既に存在します。古代から建築に使われているのです。今いるオックスフォオードの街を歩き れんが造りを見てください。私はここ数日そうして過ごしましたが、そうすると 多くは石灰石で作られている事がわかります。もっとよく見ると 石灰石の中に、小さな貝殻や小さな骨が 折り重なっている事がわかるでしょう。それらは何百万年もの間に化石化したものです。

 

5 石灰岩の表面が大気と会話していたらどうなるか?

それで石灰石の塊自体は 別に興味深いものではありません。きれいですけどね。しかし、もしもその石灰岩の表面が 実際は、大気と会話していたら どうでしょう。二酸化炭素を吸収できるかもしれない。それは石灰岩に新しい特質を与えるか? たぶんそうでしょう。それは成長するかもしれない。自己修復し、周辺環境の劇的な変化に 対応する事が できるかもしれません。

建築家は興味深い素材が 1つでは満足しません。大きく考えるでしょ? そこで代謝する素材をスケールアップすることを考えると 珊瑚礁の修復や 水によって傷んだ街の再生を エコロジカルに進める方法を 考え始める事ができます。その一例は、 もちろん歴史の街、ベネチアです。さて、ベネチアは、海との激しい関係性にあり、 木の杭の上に建設されています。そこで我々は、今作業中のプロトセル技術を使って ベネチアを、持続可能な形で 修復できるかもしれない方法を開発しました。建築家クリスチャンカリガンが 一連のデザインを考えだし、それによって 街の下部に石灰岩の堆積層を生成する可能性を 示しました。

 

6 結合する過程での結晶性の格子

それが今日お見せするテクノロジーです。これが我々のプロトセル技術で 石灰岩の祖先となる殻を効率的に作り出し 非常に複雑な環境下で、自然素材に 堆積させます。お見せしているのは、これが結合する過程での結晶性の格子です。さて、ここがとても面白いのです。美しい運河に石灰石がただぶちまけられるのでなく それが木の杭の周りに 創造的かつ巧みに積み上がる必要があります。

 

7 堆積自体は二酸化炭素の巨大な「流し」になる

そこで、ご覧に入れているのは、プロトセルが光から遠ざかり、 暗い基礎部分に向かって 移動しているところです。これは研究室で観察されています。プロトセルは光から遠ざかるのです。光に寄ってくるものもあります。種を選べばいいのです。つまり単に一種族だけではなく 化学的に操作できるのです。ここではプロトセルが石灰質を 非常に特異的に、ベネチアの基礎部分に堆積させ 効果的に石化させています。

これは明日すぐ起きるわけではありません。時間がかかります。この技術をチューニングし、モニタしながら ベネチアの街の、もっとも傷んだ ストレスのかかった建物に、個別に テストする準備ができるまでにはまだ何年もかかります。しかし、徐々に、建物が修復されるにつれて その街の下に石灰質の珊瑚が堆積していくことになるでしょう。堆積自体は、二酸化炭素の巨大な「流し」になります。それはまた、周辺の海洋性生態系を引き寄せ 建築物の間に生息する場所を見つけるでしょう。

 

8 開発途上国にも応用可能

非常に面白い事です。自然界と、そのまま、じかに つながる都市を 建築できるのです。しかしこのことの、おそらく最も刺激的な点は この技術の応用先がどこにでもあるという事です。これは大地の化学です。我々は皆それと関係がある つまりこの技術が、先進工業国にだけでなく 開発途上国にも 応用可能だという事です。まとめると、私はビクトリア型技術と対抗する 代謝性資材を生み出していて ボトムアップ方式の建築をしようとしています。

 

9 生体システムと類似の特質を備えている

二つ目に、この代謝性素材は 生体システムと類似の特質を備えており 同様の方法で振る舞うということです。建築上、多くの形や機能を 提供する事が期待されます。最後に、未来の観察者は 環境の美しい構造物に驚嘆しながら それが自然のプロセスでできたのか、 それとも人工的なプロセスで できたのか、ほとんど区別が つけられないだろうという事です。どうもありがとう (拍手)

最後に

ビクトリア時代の技術の建物は持続可能ではない。代謝する物質を建築に使うことが必要。新素材を作るシステム「プロトセル」。大気から二酸化炭素を取り出し炭酸塩に変えるプロトセル。堆積自体は二酸化炭素の巨大な「流し」になる。開発途上国にも応用可能で、生体システムと類似の特質を備えている。自然と人工が交わるプロセス

和訳してくださった Masahiro Kyushima 氏、レビューしてくださった Kayo Mizutani 氏に感謝する(2009年7月)。

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