sex-slavery

スニータ・クリシュナン 「性的奴隷制との闘い」

「あなたの身近な世界の中で心を開いてほしいのです。この人たちを受け入れてほしいのです。彼らも我々の一部なのだから、この世界の一部なのだから」スニータは静かに語りかける。ここでは、140万ビューを超える Sunitha Krishnan のTED講演を訳し、沈黙の文化を破る勇気について考える。

要約

スニータ・クリシュナンは、世界規模の100億ドル市場である性的奴隷制から女性や子どもたちを救出することに生涯を捧げています。この勇気に満ちたスピーチで、彼女は自分自身の体験に加えて3つの強力な物語を語り、犠牲者が人生を再構築するために社会がもっと人間的に接するよう、訴えます。

Sunitha Krishnan is galvanizing India’s battle against sexual slavery by uniting government, corporations and NGOs to end human trafficking.

 

1 世界第3位の組織犯罪、100億ドル産業

これから、人類最悪の 人権侵害、世界第3位の組織犯罪、100億ドル産業についてお話します。現代の奴隷制度です。

 

2 4歳のプラニータは既に3人の男にレイプされていた

この3人の子どもたちについて お話します。プラニータ、シャヒーン、アンジャリです プラニータの母親は売春していました。売春させられていました。母親はHIVに感染し 死期が近づいたとき つまりエイズの最終段階に来た時 もう売春できなくなり 4歳のプラニータをブローカーに売りました。私たちに情報が入り、現場にたどり着くまでに プラニータは既に3人の男にレイプされていました

 

3 シャヒーンの腸を体内に戻すのに32針縫った

シャヒーンの背景は私も知りません。その数はわかりませんが、彼女は何人もの男にレイプされ 線路で発見されました。そのひどさは、彼女の腸が体外に 露出しているほどでした。彼女を病院に連れて行くと 腸を体内に戻すのに32針縫わなくてはなりませんでした。彼女の両親や彼女の身元は、今もわかりません。何百人もの男が彼女の身体を 残酷に扱ったことだけがわかっています。

 

4 何百、何千という子どもたちが3歳や4歳という年齢で性的奴隷として売られている

アンジャリの父は酒びたりで 子どもをポルノ業界に売りました。ご覧になっているのは 商業的な性的搾取のために取引された 3歳、4歳、5歳の子どもたちの写真です。この国では、また世界中で 何百、何千という子どもたちが 3歳や4歳という年齢で 性的奴隷として売られています。しかし人間が売買される目的はそれだけではありません。「養子」という名目でも売買されます。臓器売買のためにも売られます。強制労働、 らくだジョッキー、その他あらゆることのためにもです。

 

5 15歳の時、私は8人の男に集団レイプされた

私は商業的な性的搾取の問題について仕事をしています。その場所からのお話をしましょう。このような子どもたちと関わる私の旅は ティーンエイジャーの頃始まりました。15歳の時、私は8人の男に集団レイプされました。レイプのことは、犯された怒りほどには 思い出しません。そう、8人の男が私を汚し、レイプしましたが 一部始終は覚えていません。私は自分を犠牲者だと思わなかったし、今もそうです。しかしそれ以来今まで、私を去らないのは―私は今40歳ですが― 巨大な、狂暴な、怒りです

 

6 私たちは、社会としては、犠牲者を犠牲にする専門家

2年間、わたしは村八分にされ、烙印を押され、孤立させられました。犠牲者だからです。私たちは皆、人身売買の生還者をそのように扱うのです。私たちは、社会としては、犠牲者を犠牲にする専門家なのです。15歳の年から 周囲を見回して、私は 何百、何千もの女性や子どもたちが 性的奴隷の仕事をさせられ 我々が彼女たちを受け入れないために 間断なくそれを続けさせられるのを見てきました 。

 

7 彼女は悲劇のヒロインになりたかった

彼女たちの旅はどこから始まるのか? 彼女たちのほとんどは、自由放任の家庭の出身で 貧困層からだけではなく 時には中流階級からも人身売買されます。この警官の娘は 14歳で、9年生の学生でしたが ある男に言い寄られ、レイプされました。そして 家出しました。彼女は、悲劇のヒロインになりたかったのです。そして人身売買されたのです。とてもいい家庭の出身の子どもたちが 人身売買されるケースが 何百、何千とあります。

 

8 彼女たちの99.9%は売春の道に、0.1%は殺される

騙され、そして強制されるのです。彼女たちの99.9パーセントは 抵抗しながら売春の道に引きずり込まれますが 何人かはその代償を払うことになり 殺されます。その子たちの事は知られることさえない 声なき、名前のない人たちです。しかしその他の、屈服した女性たちは 拷問の毎日を過ごすことになります。そこにくる男たちは、恋人を作ったり 家族を持ちたいのではないのです。彼らはお金で一時間、あるいは一日彼女を買い 使い、投げ捨てるのです。

 

9 3200人以上の誰もが同様の体験を語る

私が救い出した女性たち ―私は3200人以上を救い出しましたが― 誰もが 同様の体験を語るのです(拍手) 必ず 何かを経験しています。膣にチリパウダーを入れる男、タバコの火を押しつけて火傷をさせる男、鞭で打つ男、我々はそういう男たちと生きているのです:自分の兄弟や、父親や、 叔父や、従兄弟や、周りの全てです。そして彼らについて沈黙している。

 

10 「そうよ。これが私の運命なんだわ」

売春は楽にお金を稼ぐ― 近道だからだ、と思っているのです。その女は好きでやっているんだ、と思うのです。しかし、彼女たちはお金だけでなく あらゆる性媒介感染症 HIV、エイズ、梅毒、淋病や 薬物依存、麻薬などあらゆる代償も払います。そしてついに、希望を捨ててしまう。我々が彼女になにも与えないから。そうして、この搾取を日常として受け入れるようになるのです。彼女は信じるのです:「そうよ。これが私の運命なんだわ」 「毎日100人の男にレイプされる、これがあたりまえ 助けがあるなんてありえない リハビリテーションが受けられるなんてありえない」

 

11 救出した犠牲者の3分の1はHIV陽性

私はそういう状況で働いています。そういう状況から子どもたちを救出します。小さい子どもでは3歳から 40歳の女性まで救出してきました。彼女たちを救出したとき、大きな課題になったのは どこから始めるかでした。彼女たちの多くは HIVに感染していました。救出した犠牲者の3分の1は HIV陽性です。だから、私の課題は、どうやって この苦痛から抜け出す力を 得るかを理解することでした。私自身が経験したことが大きな力となりました。自分自身を理解し 自らの苦痛を理解し 孤独を理解することが 最大の教師だったのです。彼女たちと行ったことは それぞれの可能性を理解することでした。

 

12 彼女たちが有しているのは無限大の勇気

この女性は溶接技師の訓練を受けました。ハイデラバードの 大きな会社の作業場で 家具を作っています。1万2千ルピーを稼ぎます。読み書きができませんが 訓練を受け、熟練溶接工になりました。なぜ溶接で、コンピュータでないのか? 彼女たちが有しているのは 無限大の勇気ではないかと思うのです。彼女たちの体内にはパルダ(女性隔離の習慣)はなく 顔を隠すヴェールもありません。彼女たちはその境界を飛び越えたのです。そして男性優位の世界でも非常に簡単に 臆することなく戦うことができたのです。

 

13 彼女たちはそれぞれ選んだ分野で優秀

私たちは彼女たちを大工や石工として 訓練し 警備員や運転手として訓練しています。彼女たちのそれぞれが 選んだ分野で優秀であり、 自信を持ち、尊厳を回復し、自らの人生に希望を再建しています。彼女たちはラムキ建設などの大会社で フルタイムの石工としても働いています。

 

14 私にとって最大の課題は社会

私にとっての課題は何だったのでしょうか? 私を打ちすえた人身売買業者ではありません。今までに14回以上 暴力を受けました。右の耳は聞こえません。救出活動中に殺害された スタッフもいます。私にとって最大の課題は 社会なのです。あなたと私の課題です。最大の課題は このような犠牲者を自分たちの一部として 受け入れない社会の態度です。

 

15 「でもあの子たちはだめよ」

私の友人であり 非常に友好的にしてくれていた。ある支持者は 毎月 野菜を買うための2千ルピーを寄付してくれていました。彼女の母親が病気になったとき、彼女は言いました: 「スニータ、あなたには知り合いがたくさんいるわ。だれか私の家に来て 母の面倒を見てくれないかしら?」 それから長い沈黙があり 彼女は言いました:「でもあの子たちはだめよ」

 

16 人身売買はよく語られるが、そこで終わり

このA-Cホールで人身売買について語るのは とてもトレンディです。人身売買は、議論や、講演や、映画などの格好の材料です。なのに彼女たちを家には連れて来たくない。自分の工場や会社で彼女たちを雇いたくない。私たちの子どもには、彼らの子どもと一緒に勉強してほしくない。そこで終りです。それが私にとって最大の課題でした。

 

17 何よりも受け入れられることが必要

今日ここへは スニータ・クリシュナンとして来ているだけではありません。人身売買の犠牲者や生還者の声として お話をしているのです。彼女たちには思いやりが必要です。あなたの共感が必要です。そして何よりも 受け入れられることが必要です。

 

18 あなたの沈黙の文化を破れますか?

人々に話す時にはいつも 一つのことを話します: この問題に対応出来ない理由を 100も挙げるのはよしてください。1つでいい、この問題に向き合う方法を 考えてもらえないでしょうか。私はそのためにここに来ていて あなたの支援を求め 支援を要求し、 支援を要請しているのです。あなたの沈黙の文化を破れますか?この話を、少なくともあと2人の人に話してくれますか? 話をしてください。その人達がさらに2人の人に話すよう説得してください。

 

19 あなたの身近な世界の中で心を開いてほしい

あなたにマハトマガンジーや、 マーチンルーサーキングやメダパトカールの ようになれとは言いません。あなたの身近な世界の中で 心を開いてほしいのです。この人たちを受け入れてほしいのです。彼らも我々の一部なのだから この世界の一部なのだから、ご覧になっているこの子どもたちのために お願いします。この子たちはもういません。去年エイズで死にました。慈善や施しではなく 人間として 我々の支援に値する人間として 彼らを受け入れてください。いかなる子どもたちにも、いかなる人間にも、 この子たちが体験したようなことが起きないように。ありがとう (拍手)

 

最後に

「私たちは、社会としては、犠牲者を犠牲にする専門家」「あなたの身近な世界の中で心を開いてほしい」「慈善や施しではなく、人間として 我々の支援に値する人間として彼らを受け入れてください」沈黙の文化を破る勇気を、できることから

和訳してくださった Masahiro Kyushima 氏、レビューしてくださった Takako Sato 氏に感謝する(2009年12月)。

告発・現代の人身売買 奴隷にされる女性と子ども


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>