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プラナフ・ミストリー 次なる可能性を秘めたSixthSenseテクノロジー

「どこへでもデジタル世界を持っていけるSixthSenseデバイスがあれば、Webサイトやコンピュータ画面を紙切れの上で見ることができます」ミストリーは語りかける。ここでは、1200万ビューを超える Pranav Mistry のTED講演を訳し、大きな可能性を秘めたSixthSenseテクノロジーについて理解する。

要約

TEDIndiaでプラナフ・ミストリーが、SixthSenseデバイスの詳細をはじめ、パラダイムシフトを起こす新しい紙のノートPCなど、日常生活とデータの世界の交流を可能にするツールの数々を見せてくれます。ステージ上でのQ&Aでは、SixthSenseの可能性をすべての人が手にできるよう、ソフトウェアをオープンソースにする予定であると語っています。

Pranav Mistry is the inventor of SixthSense, a wearable device that enables new interactions between the real world and the world of data.

 

1 日常的なジェスチャーでコンピュータを使えないか?

私たちは 身の回りのモノに触れて育ってきました。私たちが日常生活で使うモノは ものすごく沢山あります。コンピュータ機器の多くとは違い 日常生活のモノというのは 使うのが楽しいものです。日常生活のモノについて話題にするとき それに付随してくるものがもう1つあります。ジェスチャーです。それらのモノをどうやって扱うのか 実生活でそれらのモノをどう使うのか。ジェスチャーはモノに対してだけ使うわけではありません。人に対しても使います。「ナマステ!」のジェスチャーは 誰かに敬意を示すときにします。インドの子どもなら これはクリケットの「4ラン」だと 教えられなくとも知っています。生活の中で自然に学び取るのです。私は早い時期に 興味を持った事があります 「モノやジェスチャーに対する 私たちの知識や 実生活でモノをどう使うかということが デジタル世界をより良くするために役立てられないだろうか?」 キーボードやマウスを使うかわりに 日常的なジェスチャーで コンピュータを使うことはできないだろうか?

 

2 2ドルで作ったジェスチャーをインターフェイスとする装置

8年ほど前に私はこの探求を始めました。そして自分の机の上にあるマウスをまず手に取りました。それでコンピュータを使うというのではなく 中を開けてみたのです。マウスというのは 昔は中にボールが入っていました。2つのローラーが マウスを動かしたときのボールの動きを コンピュータに伝えるようになっています。だから私はこの2つのローラーに興味を持ち もっと欲しくなって友達からもマウスを借りました。返すことはありませんでしたが これでローラーが4つになりました。そのローラーを使って何をやったかというと マウスから取り外して 一列に並べ 紐と滑車とバネをつけたのです。出来上がったのは ジェスチャーをインターフェイスとする装置で モーションセンサの働きをします。2ドルでできました。私が実世界でした動きが この小さな装置を通して デジタル世界で再現されます。2000年のことです。

 

3 付箋メモを電子的な付箋メモへのインタフェースにできないか?

2つの世界の統合に私は関心があって 次に考えたのは付箋メモです。普段使っている付箋メモを 電子的な付箋メモへの インタフェースにできないだろうか? 紙に書いたお母さん宛の メッセージが SMSとして届き 予定のメモが 自動的にデジタルの予定表と同期し TODOリストも自動的に同期するという具合に。そうすると デジタル世界の中で検索することもでき 「スミス先生の住所は?」 といった問い合わせもできます。結果は紙に印刷されて出てきます。これは入出力を紙でするシステムで 紙だけが外に見えています。

 

4 2つの世界を継ぎ目なく結ぶことが目的

別な探求として 私は3次元に書けるペンというのも考えました。そのペンがあれば デザイナや建築家が 3次元で考えるというだけでなく 実際に3次元で書くこともでき ずっと直感的に使えるはずです。Google Mapsを日常生活の中に 引っ張り出せないか? とも思いました。何かを探すために検索語を打ち込むのではなく モノをその上に載せるのです。搭乗チケットを載せれば ゲートへの道順を示してくれ コーヒーカップを置けば コーヒーを買える場所や ゴミ箱の場所を示すという具合です。

どれも私が初期にやった探求です。私の目的はずっと2つの世界を継ぎ目なく結ぶということでした。これらの実験にはどれも 1つの共通点があります。身の回りの世界の一部をデジタル世界に持ってこようとしていることです。モノの一部や 実生活の直感的な面を デジタル世界に持ち込んでいます。コンピュータをもっと直感的に使えるようにしたかったのです。しかし私たちが興味を持っているのは コンピュータ自体ではないということに気がつきました。私たちに関心があるのは コンピュータの中にある情報です。私たちは物事について知りたいと思います。どんなことが起こっているのかを知りたいと思います。

 

5 デジタル世界を取り出して日常生活の中に投影してみたら…

それで去年の初めくらいから考えるようになりました。「このアプローチを逆にすることはできないだろうか?」 デジタル世界を取り出して 日常生活の中に投影してみたらどうだろう? ピクセルデータは このポケットに入る四角い装置の中に 収められています。日常生活の世界へ それを解き放てるなら ピクセルをいじるために 新しい言語を覚える必要もなくなるのでは?この夢を実現しようと 私は大きなプロジェクタを実際頭に載せてみました。ヘッドマウントプロジェクタというわけです。バイクのヘルメットに 切り込みを入れて プロジェクタがうまく載るようにしました。そうやって デジタル情報で 身の回りの現実を拡張できるようになりました。

 

6 どこへでもデジタル世界を持っていけるSixthSenseデバイス

しかし後になって 私はそのデジタル情報も操作したいと思うようになりました。それでデジタルの目として 小さなカメラを付けました。その後 もっと改良して コンシューマ向けのペンダント型を作りました。それがご存じのSixthSenseデバイスです。このテクノロジーが特に興味深いのは 自分の行くところはどこへでもデジタル世界を 持っていくことができるという点です。どこか壁を見つけ それを操作面として 使うことができます。カメラがジェスチャーを捉え 様々な身振りを 解釈します。初期のバージョンでは ご覧のような カラーマーカーを使っていました。どこの壁でもかまいません。壁の前で立ち止まって投影します。追跡するのは一本の指だけではありません。両手の指がすべて使えます。だから地図を両手でつまんで 拡大 縮小ができます。カメラで実際にやっているのは エッジ認識や 色彩認識そのほか沢山の 細かいアルゴリズムによる処理です。技術的には結構複雑なのですが 結果としては直感的に使えるものになっています。

 

7 コンピュータの世界と日常の世界が混じり合う時代

これの楽しいところは 外に持ち出せるということです。カメラをポケットから取り出すことなく ただ写真を撮るジェスチャーをするだけで 写真を撮してくれます(拍手)どうも。写真を撮ったら どこでも壁を見つけて 写真を映して見ることができます 「よし この写真にちょっと手を入れて 友達にメールで送ってやろう」 私たちはコンピュータの世界と日常の世界が 混じり合う時代を迎えようとしているのです。適当な壁がないときには 自分の手のひらの上で簡単な操作をすることもできます。手のひらでダイヤルしているところです。カメラは手の動きを認識するだけでなく さらには 手に持っているモノを認識することもできます。たとえばここでやっているのは 手に取った本の表紙を 何千何万という オンラインの情報と照合し どの本かを調べています。どれかわかったら その本のレビューを表示したり ニューヨークタイムズのサイトにある 音声による解説を引っ張ってきて 実際の本を手にしながら聞くことができます (…ハーバード大学で行われた有名な講演で…)

 

8 できることを制限するものは自らの想像力だけ

これはオバマ大統領が先週MITを訪れたときのものです (…特にMITの2人の傑出した教授にお礼を言いたい…) 私は彼の講演のライブビデオを 外で新聞の上で見ているわけです。あるいはコンピュータを使わずに 新聞でライブの天気情報を 見ることができます(拍手)私が帰るときには 搭乗チケットで 飛行機の遅れを 確認できます。iPhoneを取り出して アイコンを叩くまでもありません。この技術は… ええ (笑) モノばかりでなく 人との関わり方も 変えます。お遊びとして ボストンの地下鉄に乗って 電車の床で卓球ゲームを することだって出来ます (笑) このようなテクノロジーが生活に溶け込むとき できることを制限するものは 自らの想像力だけです。

9 Webサイトやコンピュータ画面を紙切れの上で見ることができる

私たちが扱うのは 日常生活のモノばかりではないと言う人もいるでしょう。実際 会計とか編集とか いろんなことをします。そしてあなた方の多くは 次世代のタブレットPCが市場に登場するのを 心待ちにしていることでしょう。私はそれをただ待っているのではなく 自分のを紙切れを使って作ることにしました。私がやったのは Webカメラにはマイクが入っているのですが それを取り出して クリップにして 紙に付けられるようにしました。どんな紙でも使えます。そうすると紙にタッチしたときに タッチ音が出るようにできます。実際の指の動きはカメラが把握します。もちろん映画だって見ることができます (こんにちは 僕はラッセル 荒野探検隊 第54隊の隊員です)それにゲームも (エンジン音) ここでは紙をどう持っているかをカメラが把握して レーシングゲームを操作しています (拍手)見ることができることについては お分りいただけたと思います。Webサイトやコンピュータ画面を 紙切れの上で見ることができます。どこにいようと もっと面白いのは これをもっと生きたものにするということです。自分の部屋に戻ったとき 情報をつまんで パソコンの上に落としてやれば 続きを大きなパソコンでやることができます(拍手)コンピュータだけではありません。紙にもできます。紙の世界で遊ぶのはとても面白いです。資料の一部をこちらに取って 別なところからも何か取ってきて 情報をその場で 修正できます。「よし いい感じにできたぞ。印刷しよう」 そうして印刷します。このような 20年くらい前に やっていたやり方のほうが 2つの世界の間で行き来する現在のやり方より直感的です。

10 私たちは機械の一部みたいにならずにいられる

最後になりますが 身の回りのモノに情報を統合することで これら2つの世界の溝を埋め デジタルデバイドをなくせるだけでなく もっと身の回りの世界と繋がり もっと人間らしく 生きられるようになると思います。そして私たちは機械の一部みたいに ならずにいられるでしょう。以上です(拍手)どうもありがとうございます(拍手)

 

11 障害者のための’Fifth Sense’があってしかるべき

プラナフ はっきり言って 君は天才だよ。本当にすごいよ。これをどうするつもり? 会社を作る予定はあるの? それともずっと研究を続けていくの? 実際メディアラボのスポンサーの中には この技術を どう発展させるかに関心を持つ企業がたくさんあります。たとえば携帯電話会社は インドのNGOとは違ったことを求めています 「どうして’Sixth Sense’ (第六感)しかないの? 障害者のための’Fifth Sense'(第五感)が あってしかるべきだ。この技術を使えば 彼らが別な仕方で 話せるようにできる」

君自身の計画は? MITにずっといるの? これで何かするの? これをより多くの人が利用できるようにして 誰でもSixthSenseデバイスを開発できるようにしたいと思っています。これのハードウェアを作るのは そんなに難しくはありません。このソフトウェアはオープンソースにする予定です。たぶん来月あたりから公開します。そいつはすごい ワオ(喝采)

 

12 テクノロジーをたくさんの人に届けることにワクワクする

いつかインドに戻ってこようと思っているの? ええ もちろん。 どういう計画? MITとインドで 時間をどう切り分けるつもり? ここには多くのエネルギーがあり 学びがあります。ご覧いただいたものは 私がインドで学んだことを元にしています。そしてコスト効率に目を向けるなら このシステムは300ドルです。テーブル型PCみたいなものは2万ドルもします。あるいはあの2ドルで作ったマウスジェスチャーシステムは 同じようなものが 当時は5千ドルくらいしました。あるカンファレンスで座長の アブドゥル カラムに見せたら こう言ってくれました「バーバー原子力研究センターでも ぜひこれを使わなきゃ」 私はテクノロジーを研究室に閉じ込めておくのではなく たくさんの人に届けるということにワクワクします(拍手) TEDで会った人の意見を聞くと 君は現在の世界で 最高の発明家の1人だと思う。君をTEDに迎えられてとても光栄に思います。どうもありがとう。実に素晴らしい(拍手)

最後に

2ドルで作ったジェスチャーをインターフェイスとする装置。付箋メモを電子的な付箋メモへのインタフェースにした。どこへでもデジタル世界を持っていけるSixthSenseデバイス。Webサイトやコンピュータ画面を紙切れの上で見ることができる。コンピュータの世界と日常の世界が混じり合う時代。私たちは機械の一部みたいにならずにいられる。できることを制限するものは自らの想像力だけ

和訳してくださった Yasushi Aoki 氏、レビューしてくださった Tatsuma Nagano 氏に感謝する(2009年11月)。

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