自分の力を試してみよう
ふと自分の会社がつぶれたらどうしよう、夫がリストラにあったらどうしよう、ということが頭をよぎることがあるかもしれない。ここでは、その不安を前向きな力に変える可能性のある、スキル販売サイトについてまとめてみたい。
1 老舗 vs ベンチャー vs 知名度
スキル販売サイトといっても、どのようなサイトがあるのだろうか。ここでは国内における代表的な4つのサイトについて、簡単にまとめる。(以下、人名敬称略)
Abilie
Abilieは、Q&AサイトのOKWave(代表:兼元兼任)が運営する、知識・スキルを売り買いできるマーケットである。
筆者が知る限り最も老舗(3月30日サービス開始)であり、Googleで「スキル販売」と入れて検索すると、真っ先に出てくるのがこのサイトである。出品数は418件、ユーザー数は未公開(10月2日現在)。商品カテゴリは、仕事・スキルアップから家族・育児の8つに分かれており、PDFや動画レッスンの販売も行うことができる。決済は、クレジットカードのみとなっている。
ココナラ
ココナラは、ウェルセルフ(代表:南 章行)が運営する、得意をオンライン上で売り買いできる、モノを売らないフリーマーケットである。
7月3日に運用開始し、出品数は1800件、ユーザー数は14000超となっている(10月2日現在)。1回500円という価格設定、追加で料金を支払える「おひねり」機能を持つことが特徴である。商品カテゴリは、アイコン・似顔絵からその他の15個に分かれており、回答には最大10MBまでの画像や音声ファイル等が添付できる。決済は、クレジットカードとWebMoneyのみとなっている。
オレポン
オレポンは、Liverty(代表:家入一真)が運営する、スキルや時間をクーポン形式で販売するサイトである。
9月21日に運用開始し、出品数は9件、ユーザー数は未公表となっている(10月2日現在)。商品カテゴリは特に決められておらず、WEB関連のサービスからアイス無駄知識講座など、自由で個性豊かなクーポンが販売されている。決済は、PayPalのみとなっている。
Yahoo!オークション
Yahoo!オークションは、ヤフー(代表:宮坂 学)が運営する、日本最大のインターネットオークションサービスである。
9月5日に運用開始し、今までのカテゴリに加えてスキルの販売も始めた。出品数は646件、ユーザー数は未公表(10月2日現在)。商品カテゴリはコンテンツ制作、学習・レッスン、エンタメ、代行の4つに分かれており、映像や写真といった出品が多い。決済は、クレジットカードと銀行ネット決済となっている。
2 違いは理念、価格設定、手数料
4つの代表的なスキル販売サイトの概要をまとめた。ここではその違いについて、理念、価格設定、手数料の観点から整理したい(太字は最安値)。
Abilie
理念 : 利用者の能力をより高めていただきたい(Ability+enhanceの造語)
価格設定 : 300〜2000円(レベルが上がると最大50,000円)
手数料 : 販売価格の40%(10月末までは無料)
ココナラ
理念 : 一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中を作る
価格設定 : 500円
手数料 : 販売価格の30%(150円)
オレポン
理念 : リストラも失業も就活だってない生き方を応援する(家入一真)
価格設定 : 自由
手数料 : 販売価格の20%
Yahoo!オークション
理念 : 誰もがもっている才能を解き放つプラットフォームになります
価格設定 : 1〜4999円(プレミアム会員登録で自由)
手数料 : 無料(落札者に98円〜振込金額の5.25%)
3 目に見える成果とユニークさが売れるコツ
ここでは上記の4サイトにおいて、売れている商品とはどういうものかを分析し、これから出品しようとする人に参考になる情報を提示したい。
Abilie
売れ筋商品としては、「あなたのロゴ、さくっと作ります。」や「Googleアナリティクス完全マニュアル」など、WEBサービス系が多い。応援商品(お気に入りが多い商品)としては、「オリジナルキャラクター作ります。」や「企業ロゴ・Shopロゴ制作」などが上位に上がっている。カテゴリ別の出品数では、上位から仕事・スキルアップ142件、暮らし67件、アート・デザイン64件となっている。
ココナラ
男性での売れ筋1位にはキャッチコピー、女性ではタロット占いが上がっている。2位以下には、似顔絵やロゴ、占いやWebサイト分析、翻訳やアイコンづくりというものが売れている。カテゴリ別の出品数では、上位からWEB・ITが174件、ビジネス・スキルアップが144件、暮らし・マネー・住宅が122件となっている。
オレポン
藤川真一といった業界において実績のある人のクーポンが完売していた。また、すずきえりのカメラツアーや野口卓也の小説講座、本谷亜紀のラーメンコンシェルジュなど、個性的なサービスも完売している。さらに、「家入一真とランチできる券」など、運営者自身を商品として販売し、完売している。
Yahoo!オークション
スキル、知識カテゴリにおいて、表示順序を「人気+新着順」にして検索したところ、翻訳や画像・映像制作が上位に表示された(手描きイラストなど)。しかし「目玉のアイテム」や「えりすぐりアイテム」という項目では、「数千円~数万円の現金振込があなたの口座にほぼ連日発生します」といった、信憑性に欠ける商品が多く提示されるため、注意して見る必要がある。カテゴリ別の出品数では、上位からコンテンツ制作453件、学習・レッスン121件、代行47件となっている。
このように、ロゴやネーミング、イラストやWEB分析といったビジネスにおいてすぐに役立つ商品、タロット占いやラーメンコンシェルジュなど商品のユニークさが秀でている商品が、よく購入されていることがわかる。基本的なことではあるが、良質なもの、おもしろいものを提供できる人が選ばれているのだ。
最後に
本稿では4つのスキル販売サイトを比較し、それぞれの特徴と人気の商品についてまとめた。
こういったサイトを会社員の方が副業という形で行うのもいいだろう。しかし、個人的には例えば、昔は普通に働いていたが今はコンビニやスーパーでパートをしている、といった方にトライしてみてもらいたい(参考:良質なサービス提供者が眠っている)。オレポン開発者の家入一真氏も、Twitterで「日本の隠れ資産って地方の主婦とか高齢者にあると思う」と述べている。4つのサイトもそのような思いで運営をされているのだと思う。
筆者もそういった「隠れ資産」の発掘の手伝いをしていきたい。
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