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社会的責任は稼いだおカネを有効に使って果たそう 新しい金融商品

前回は、「元本確保で大儲け」はあり得ない ○○型投資信託とヘッジファンドについてまとめた。ここでは、社会的責任は稼いだおカネを有効に使って果たそう 新しい金融商品について解説する。

1 社会的責任投資ファンド

地球に優しい株式投資?

地球に優しい株式投資として、社会的責任投資(Socially responsible investment:SRI)というものがある。「地球に優しい企業、男女が平等な企業、消費者第一の企業、文化に貢献する企業、顧客を騙さない企業」などの評価基準で、社会的な責任を積極的に果たしている企業を選んで、その株式で運用する株式投資信託である。

ただし、こうしたSRIは平均的に運用成績が悪く、手数料も高い場合が多い。そのため、資産運用はETFなどで通常どおりに行い、それで稼いだおカネで自分の日常生活での努力を深める方が、社会問題への取り組みとしてもずっと優れているだろう。

 

2 中国株ファンド、インド株ファンド

中国の次はインド

ブラジル・ロシア・インド・中国の頭文字を取った「BRICs」という言葉が有名になって久しい。指標として経済成長率が挙げられることが多いが、同じ5%でも米国なら好景気、中国なら不景気と、国によってその影響が異なる。また、成功報酬が取られることが多いので、運用途中で値上がりした場合に高い手数料を取られる可能性が高い。

 

3 新規公開株

新規公開株で一発を狙う

IPO(initial public offering)とは新規公開と訳され、株式を公開していなかった企業が、株式を一般に公開して自由に売買してもらうようにすることである。この新規公開される株式のことを、新規公開株(IPO株)と呼ぶ。これまでの新規公開株は、公募価格(公募の際に投資家が買う株価)を大きく上回る初値がつくことが非常に多かったため、公募で株式が手に入れば取引初日に売ることで利益が得られることがあった。

ただし、もちろん買った後に値段を下がる新規公開株もある。こうした新規公開株の区別がつかずに抽選に申し込むとすると、買った後に上がる株が当たる確率は低く、下がる株が当たる確率は高くなるため、手当り次第に抽選に応募するのは危険である。

 

4 商品ファンド

石油や金や鉄の値上がりに賭ける

商品取引とは、金や原油(精製前の石油)や鉄などの一般的な商品が取引所などで売買されることである。こうした商品を実際に買って保管するのは大変なため、先物取引(オプション取引)を活用して取引する方法がある(商品先物取引)。商品先物取引では、原油や鉄などの鉱物資源だけでなく、小豆やトウモロコシなどの穀物も取引されており、バラエティに富んだ資産運用ができる。

商品ファンドとは、商品先物取引を活用して多数の商品に投資するものである。このファンドのポイントは、手数料の実態が把握しにくいことと、優れた実績を強調していることが多いことである。特に後者については、国際的な商品価格の傾向を強調して伝えているだけのことが多く、運用の巧拙は関係ないことがほとんどである。

なお、株式投資や債権投資は、その資金が企業の生産活動などに有効に使われれば、経済成長に貢献する。しかし、商品先物取引は社会の役に立たない投機(価格変動リスクなどのリスクを負う金融取引)である。

 

5 金投資ファンド

金投資ファンドの多くは、預金に「金のオプション取引」がセットになったものである。つまり、金の値段が下がったときには必ず損をするようになっており、上がったときにも決められた配当しか入らないという不利な商品なのである。

 

6 著名人推薦のファンド

騙されないための勉強

「私たちが推薦します!○○」といった著名人推薦のファンドは「怪しすぎる」と断定してよい。まず、著名人の多くは仕事として広告に出ているだけであり、何かトラブルがあったとしても責任は取ってくれない。また、本人には無断で写真などが使用されている場合もある。つまり、こうしたタイプの商品を見て期待してしまうようならば、まだまだ勉強が足らないということである。

著者が推薦する人・書籍として、以下の5人が挙げられている(著者含む)。ぜひ手に取って読んでみていただきたい。

  1. 楠本くに代:金融消費者のためのファイナンシャル・リテラシー―株式・投信・預金・保険等で失敗しないための最低限の知識
  2. 鈴木雅光:買ってはいけない「金融商品」のからくり
  3. 山崎 元:全面改訂 超簡単 お金の運用術
  4. 橘 玲:世界にひとつしかない「黄金の人生設計」
  5. 吉本佳生:金融工学の悪魔―騙されないためのデリバティブとポートフォリオの理論・入門

 

最後に

規制強化は必要ない」著者は最後に綴っている。結局のところ「勉強して能力を高めれば何らかの形で報われる」ことを理解することであり「勉強しないと不利になる」ということを実感すれば、たいていの人は自ら努力するのだ。金融広告は判断力を高める格好の教材

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)


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