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ジョン・ニュエン 自宅から行ける太陽系ツアー

「手の届かない高額な宇宙探査機を買わずに太陽系を探検したいと思いませんか?」ニュエンは語りかける。ここでは、50万ビューを超える Jon Nguyen のTED講演を訳し、自宅から行ける太陽系ツアーの仕組みについて理解する。

要約

手の届かない高額な宇宙探査機を買わずに太陽系を探検したいと思いませんか?ジョン・ニューエンが、NASAジェット推進研究所より「Eyes on the Solar System(太陽系観察)」を披露します。この無料のソフトウェアを使えば、惑星から衛星、小惑星、更に太陽の周りをリアルタイムで飛行している宇宙船まで全て無料で楽しむことができます。(撮影場所: TEDxSanDiego)

Jon Nguyen is an award winning aeronautics and graphics engineer at NASA.

 

1 子ども時代、私は宇宙や空を飛ぶものが大好きだった

子ども時代 私は宇宙や空を飛ぶものが大好きでした。PBS局のNovaという科学番組はかかさず見ましたし 小学校も子ども向け科学番組をよく流していました。小学生の頃 隣人が 誕生日に本をくれたんです。天文学の本でした。時間も忘れて穴があく程にこの本を読みました。このような色々のものがきっかけとなって 宇宙探査という夢を志すようになりました。太陽系内を飛び回って惑星や月 宇宙船を 訪れてみたいと ずっと夢見ていました。

 

2 太陽系の3Dモデル作成に取り組んだ

時が経ちカリフォルニア大学ロサンゼルス校を卒業し NASAに入った私は ジェット推進研究所に配属されました。そこで チームのみんなと太陽系の 3Dモデル作成に取り組むことになりました。今日は今までの成果をお見せしようと思います。実はここでお見せするものは 皆さんの自宅でも自由に楽しめるように 開発されているものなんです。これは地球です。アメリカにカリフォルニア サンディエゴも見えますね。マウスとキーボードを使って 3Dモデルを回転させることができます。

 

3 Google Earthとは逆をやっている

これ自体目新しいものではなくGoogle Earth で同じようなものを 見た人も多いはずですが開発チーム内では Google Earthとは逆をやっているとよく言ったりしています。Google Earthは地球に向かって近づいていきますが 私たちのものは地球から離れていくんです。もちろん 地球は素晴らしいのですがここでお見せしたいのは 人工衛星や探査機なんです。インターフェースをズームアウトすると 地球の周りを回る人工衛星が見えてきます。これらは全て科学衛星で 軍事用 気象予報用 通信用 偵察用のものは含めていません。こういった衛星は無数に飛んでいて 含めると ぐちゃぐちゃになってしまうんですね。こんな機能もついています。人工衛星や探査機の中には 3Dモデルを作成したものもあるのでダブルクリック一つで 訪れることができます。

 

4 宇宙ステーションから眺める日没を見ることができる

それでは国際宇宙ステーションを見てみましょう ダブルクリックするだけでその場にひとっ飛びです。現在 国際宇宙ステーションの 真横を飛行している状態です。もう一つ素晴らしい機能があって カメラだけでなく時間を動かすことができます。ここのジョグダイアルをスライドすると 時間を早送りすることができます。宇宙ステーションから眺める日没を見ることが出来ます。あそこでは90分毎に日が沈むわけですが (笑)

 

5 ロボットによる探査がNASAの活動の中心

それでは他の機能を紹介しましょう。ホームボタンを押すと 内部太陽系へと移動します。次は外部の太陽系を見てみましょうか。土星や木星が見えますね ここでちょっとお見せしたいものがあります。結構いろんなものが飛んでいます。これはマーズ・サイエンス・ラボラトリーです。先週 火星に向けて打ち上げられたばかりです。こちらは木星に向かうジュノーです。次にベスタ探査用のドーン こちらはニュー・ホライズンズで 冥王星に向かっています。これをお見せてしているのは 「宇宙に行くスペースシャトルはもうない」とか 「NASAは死んだ」というような おかしな認識が広まっているからです。実は ロボットによる探査がNASAの活動の中心になっており NASAの探査機もたくさん飛んでいます。もちろん 現在はNASAの宇宙船に 人を乗せて送り出すことはありませんが NASAはいたって健在です。このようなプログラムを作った理由の一つは NASAの色々な活動を 皆さんに知ってもらうためです。

 

6 ダブルクリックするだけでどこか訪れたいところにいける

さて太陽系に戻りましょうか。どこか訪れたいところがあれば ただダブルクリックするだけです。ベスタをダブルクリックしてみましょう。ベスタをの周りを回っているドーンが見えますね。現在 本当にあそこを飛んでいるんですよ。天王星をダブルクリックしてみましょうか。すると 横に傾いて回転する天王星と周りの衛星が見えます。89度傾いていることがわかりますね。

 

7 1950年から2050年までのデータを使用している

1950年から2050年までのデータを使用しており 色々な場所へ 色々な時間の設定で行くことができます。もちろん入手困難なものもありますので データは完全ではありません。異なる時間設定で色々なところに行けるので いくらでも探検を楽しむことができます。本当に限りがないんですが 中でも一つお見せしたいものがあります。目的地のタブを開くと 外惑星探査用のボイジャー1号がでてきます。タイタンへの接近通過を見てみましょう。時間をさかのぼり 1980年11月11日の日付の ボイジャー1号の隣へやってきました。

 

8 秒単位まで正確なスピードで動いている

すると奇妙な光景が見えてきます。全く動いていないではないですか。プログラムが一時停止したように見えますが 実は本来のスピードで変化しています。秒単位まで正確なスピードで動いています。ここのボイジャー1号はタイタンのすぐ横を たしか時速6万1千kmで飛行しています。何も動いてないように見えるのは ここの土星からは112万kmも距離があるし タイタンからも7千km程は離れているからです。宇宙の壮大さのために動きが見えなくなってしまったんです。

 

9 3Dモデルがあれば単なる衛星の動き以外のことが見えてくる

もっと面白くするために 時間を早送りして ボイジャー1号に タイタンに接近し通過してもらいましょう。タイタンは ぼんやりとした土星の衛星で 分厚い大気で覆われています。土星をカメラの中央に戻して ズームアウトしてお見せしたいのは 土星に接近飛通過をするボイジャー1号です。ここで重要なことがあります。このような3Dモデルがあれば単なる衛星の 動き以外のことが見えてくるんです。もっと色々説明できます。更にインタラクティブなアプリケーションなので 好みの形で見ることができます。一時停止、早送りもできますし カメラのアングルを変えるのも皆さん次第です。ボイジャー1号は単に土星に接近し 通過しただけではない事をお見せすることができるんです。実は土星の下を飛んでいくんです。土星の下を通過する過程で 土星の重力に捕らえられ上方に太陽系外に向かって 加速されます。このまま放っておけば こんな風に飛んでいってしまいます。それでは内部太陽系に戻りましょうか。今日の日付 今現在に戻って ボイジャー1号がどこにいるかお見せします。ここですよ。内部太陽系を大きく脱出して こんなに上まで来てしまっているんです。

 

10 今日のテーマは「世界を手の中に」

どうやってここに到達したかわかりましたね。これこそがこのプログラムの目的なんです。時間や場所を操作して 自由に飛び回り自由に学ぶことができるんです。今日のテーマは「世界を手の中に」です。これは太陽系を皆さんの手の中にお渡しするプログラムです。これを使って 皆さんに宇宙探索の歴史や 将来の宇宙開発について学んで頂けると思います。私の個人的な夢は 子どもたちにこのアプリケーションで 宇宙を探検してもらい 神秘を感じてもらって、私が子どもの時のように 科学・技術・工学・数学を好きになってもらい 宇宙探査の夢を追いかけてもらうことです。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

Google Earthとは逆をやっている、NASAの「Eyes on the Solar System(太陽系観察)」。ロボットによる探査がNASAの活動の中心。3Dモデルがあれば単なる衛星の動き以外のことが見えてくる。今日のテーマは「世界を手の中に」

和訳してくださった Takahiro Shimpo 氏、レビューしてくださった Akiko Hicks 氏に感謝する(2011年12月)。


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