表計算ソフトで有名なのは、Windows社のエクセルである。今でも「エクセル入門講座」が開かれるなど、その需要は手堅いものがある。ここでは合計からIF関数まで様々な演算が可能な表計算ソフトについて、解説する。
情報処理推進機構のシラバスにおいては「47.開発ツール」に対応している。
1 表は行・列・セルでできている
表計算ソフトは、行と列で細かく区切られたワークシートを使って計算を行う。
- セルアドレス(セル番地):列位置を示すアルファベットと行位置を示す数字とを組み合わせたもの
- セル範囲:複数のセルをまとめて範囲指定する表記方法
他のセルを参照する
表計算ソフトでは、セルの中に他のセルアドレスを入力して、その内容を引用することができる
式を入れて自動計算
品物の単価や個数を変更すると、それぞれの計算結果も自動的に更新される。これを再計算機能という。
表計算で用いる演算子
- 足し算:+
- 引き算:−
- かけ算:*
- 割り算:/
- Xの○乗(べき乗):^
セルの複写は便利
複写する方向に応じて、自動的にセルアドレスを調節することができる。
2 相対参照と絶対参照
表計算の複写には、セルアドレスを自動調整する相対参照と、固定のまま複写する絶対参照とがある。
相対参照は行・列ともに変化する
相対参照では、指し示す先との相対位置関係を複写するイメージが近い。
絶対参照は行・列を任意で固定する
絶対参照では、列名や行番号の前に「$」をつけることで、その要素を固定させたまま複写を行うことができる。
- $A1:列方向の複写をしても、列は「A」に固定されたまま変化しない
- A$1:行方向の複写をしても、行は「1」に固定されたまま変化しない
- $A$1:行・列ともに固定されるので、どこに複写しても内容は変わらない
3 関数で集計したり平均をとる
関数を使うと、複雑な計算式をセルに記述することなく計算結果だけを受け取ることができる。「関数名(計算の元となる数値)」と表記する。このとき、括弧の中に指定する数値のことを引数。返される計算結果のことを戻り値と呼ぶ。
有名どころの関数たち
- 合計:合計(A1〜A5)
- 平均:平均(A1〜A5)
- 最大:最大(A1〜A5)
- 最小:最小(A1〜A5)
- 個数:個数(A1〜A5)空白ではないセルの個数
- 標準偏差:標準偏差(A1〜A5)
- 剰余:剰余(A1,A5)A1をA5で割ったときの余り
- 平方根:平方根(A1)
- 絶対値:絶対値(A1)
- 整数部:整数部(A1)
4 「もし○○なら」と条件分岐するIF関数
IF関数は、条件によってセルの内容を変えることができる条件分岐用の関数である。
IF関数の使い方
「IF(条件,条件が真の場合,条件が偽の場合)」と表記する(例:IF(売上実績>売上目標,’評価A’,’評価D’))
IF関数にIF関数を入れてみる
IF関数は、さらにIF関数を入れ子状態にして、複雑な条件を処理させることができる(例:IF(売上実績>売上目標,IF(売上実績>=(売上目標*1.2),’S’,’A’),’D’)
最後に
表計算ソフト基礎知識として、表の構造、相対参照と絶対参照、関数、IF関数についてまとめた。
最初にシートの関数を設定しておけば、その後は簡単に合計や平均を求めることができる。特に相対参照と絶対参照を使い分けることで、ある商品群の販売金額の合計を求めたり、販売構成比を求めることが容易になる。これは小売業などで店舗の特徴を分析する際に活用できる。また、成績評定などもIF関数を用いることで、容易に作成することができる。ぜひ活用してほしい。
次回はデータベースについてまとめる。
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