税務調査が実際に行われる確率は、個人と法人とで異なる。しかし、そもそも実際に調査されることが少ないため、その実態についてはよく知られていない。ここでは税務調査の実際や後始末についてまとめ、その対策についてまとめる。
1 税務調査の実調率
税務調査が実際に行われる確率(実調率)は個人の場合は1%、法人の場合は6〜7%といわれている。通常3年分は遡って調査される。
2 税務調査の実際
税務調査が入った場合、まず調べられるのが帳簿と領収書である。例えば車や家賃・光熱費など家事関連費の按分比率や用途が曖昧な経費が調べられる。調査の行われる最盛期は9〜12月であり、犯罪性の疑いがなければ基本的に事前連絡がある。
税務調査の終わりには2種類ある。確定になった内容でこちらが修正申告するケースと、税務署側が押し付ける更正がある。通常お互いに交渉し、修正申告という形で終える場合が多い。
3 税務調査の後始末
調査の結果で修正が入り、追加の税金が課せられる場合がある。その追加分には「過少申告加算税」や「延滞税」があり、3割増程度を納めることになる。しかし、悪質性があると判断された場合には「過少申告加算税」が「重加算税」となり、納税額がより多くなる(ニュースでよく見る「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」、何が違うの?参照)。
- 過少申告加算税:追加で支払う税額の原則として10%のみ
- 延滞税:追加で払う税額に年利14.6%を日割り計算した金額。過少申告加算税の場合は1年分だが、重加算税の場合は何年分も加算される
- 重加算税:追加で支払う税額の35%上乗せ
4 税務調査対策
100%安全な税務調査対策はない。基本的にはどれが経費として認められるか否かが論点になるため、その理由を明確に説明できればよい。
最後に
自営業者のための税務調査入門として、税務調査の実調率、税務調査の実際、税務調査の後始末、税務調査対策についてまとめた。
筆者は今までに税務調査に立ち会ったことはない。帳簿書類等の保存期間が7年間ということは知っており、(えらそうに)指導もしていたが、 通常は3年分遡って調査されることなどは知らなかった。もちろん過少申告加算税や延滞税についてもである。当事者意識が足らなかった。学んでみると必要以上に恐れる必要はないことがわかるし、3割程度の追加で済むのでは軽すぎるのではないかとも感じる。
学びは不安を和らげ、価値基準の形成を助けてくれる。
7回にわたって自営業者のための税金、社会保険、記帳業務、青色申告、消費税、法人化、税務調査についてまとめた。下記の著書は著者のきたみりゅうじ氏と税理士の対話形式となっており、より基礎知識のない人でもわかりやすく説明されている。項目毎に4コマ漫画もあり、イメージがつきやすい。よければ手に取ってみることをおすすめする。
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