「TED Padで自分の究極および最悪のTEDTalkを作りましょう」ワーニックは語りかける。ここでは、180万ビューを超える Sebastian Wernicke のTED講演を訳し、TEDTalkにまつわる嘘と統計分析について理解する。
要約
素晴らしく皮肉の効いた分析により、セバスチャン・ワーニックがTEDTalkを統計分析というツールにかけ、ユーザ評価に基づいた「最適なTEDTalk」を作るための基準を編み出しています。この講演をどのように評価されますか? 「びっくり」「説得力なし」それとも、ただただ「可笑しい」?
After making a splash in the field of bioinformatics, Sebastian Wernicke moved on to the corporate sphere, where he motivates and manages multidimensional projects.
1 選ぶべき題材、講演のやり方、舞台上での見た目が着眼点
もし今TEDのホームページに行くと 延べ1週間を越えるビデオがあり 130万語に上る 文字起こしデータと 何百万という ユーザー評価を見られます。実に莫大な量のデータです。それを見てこう思いました 「もしこのデータ全てを 統計分析にかければ TEDTalkを リバースエンジニアリングして 究極のTEDTalkを 作れるかも」 (拍手) 「それにまた 大目に見てもらえる 最低のTEDTalkも」
これを確かめるべく 3つの点に着目しました。選ぶべき題材 講演のやり方 舞台上での見た目です。さて 選べる題材は多岐にわたりますが 賢く選択しなくてはいけません。題材はユーザーの反応と 密接な関係があるからです。話をより具体的にするため 統計的にみて 最も好まれるTalkと 最も好まれないTalkに よく見られる10個の言葉を拾い上げてみました。TEDでは 「フレンチ」「コーヒー」が 「あなたの」「脳」にもたらす「幸福感」について 話をすれば 成功間違いなしです (拍手) 一方で 「酸素」「女の子」 「飛行機」が関わる プロジェクトの話をするつもりなら 個人的には聞いてみたいですが 統計的にはうまくいきません。そして これをもっと一般化すると 最も好まれるTEDTalkは 私たちが容易に自分と深く 関係づけられるもの 「幸福」「体のこと」「食べ物」 「感情」などの話題です。もっと専門性の高い話題 「建築」「素材」 それと面白いことに「男」なんかは TEDではウケません。
2 可能な限り長く話す
次にどのように講演を行うかですが TEDが時間にうるさいことは よく知られています。だからこのことをお教えすると 嫌な顔をされると思いますが 可能な限り長く話してください。最も好まれているTalkは 好まれてないTalkより 平均で50%以上長いのです。これは個々のランキングリストにも 当てはまりますが 例外もあって 「美しい」「刺激的」「可笑しい」 というのを狙うなら簡潔に そうでなければ 引きずり下ろされるまで話し続けましょう(笑)
それから… (拍手) 講演する上で守るべきルールがあります。私はこのルールを 好かれているTalkと 好かれていないTalkの それぞれに現れる4語のフレーズの 統計を取ることで見つけました。3つ例を挙げます。まずなにより 講演者として 聴衆に対して「自分に提供できる」ことを話し 「自分にはできない」と言うべきではありません。第2に「ニューヨークタイムズ」の 引用は絶対避けてください (笑) 最後に…これは良い報せですが…講演者が 知ったかぶりをするのは構いません。「わからない」ときにはただ「エトセトラ エトセトラ」と言えばいいのです。みんな付いてきてくれますから 全く問題ありません (拍手)
3 講演者本人は髪の毛を少し伸ばし…
次は 見た目の話です。ステージの上で一番目に付くものは 講演者本人です。分析の結果 最も好かれる 講演者の仲間入りをするには 髪の毛を平均より少し長めにのばし 眼鏡を忘れずにかけ 平均的な講演者よりも きちっとした身なりをしてください。スライドだけでなく 小道具も使ってみましょう。そして とても重要なのは ステージの雰囲気です。色がとても重要な役割を果たします。Webサイトでの講演の評価は 色と密接な関連があります (拍手) たとえば「魅力的」な講演は 統計的に 平均的な講演と比べて 紫色を多く含んでいます。「独創的」な講演は緑色が多く… エトセトラ エトセトラ (拍手) このような分析をしたのは 私が初めてではないと思われます。しかしこれは皆さんの ご判断にお任せしましょう。
4 TED Padで自分のTEDTalkを作ろう
それでは これらすべてをまとめて 究極のTEDTalkを作ってみましょう。ここはTED Activeですから 分析でわかったことを 何か形にすべきでしょう。究極のTalkや最悪のTalkを 押しつけようとは思いません。皆さんがご自分のを作れる ツールを用意しました。TED Padです (笑) このTED Padを使うと 特別に選んだ100個の 精選された文章を組み合わせ ご自分のTEDTalkを作っていただくことができます。決断すべきことは1つだけ 良いTalkのためのホワイトバージョンを使って 「創造性」や 「人類の英知」についての話をするか それともブラックバージョンにして すごくまずいTEDTalkを作り 「ブログ」や「政治」なんかの 話をするかです。ぜひダウンロードしてお試しください。
このセッションを楽しんでいただけたなら幸いです。ご自分の究極のTEDTalkや 最悪のTEDTalkをお作りください。そして皆さんの中の誰かが触発されて 来年のTEDで このような講演を聞かせていただけるのを楽しみにしています。ご清聴ありがとうございました(拍手)
最後に
選ぶべき題材、講演のやり方、舞台上での見た目が着眼点。「幸福」「体」「食べ物」「感情」などの話題を選び、可能な限り長く話し、髪の毛を少し伸ばして眼鏡をかけて話せばいい。TED Padで自分のTEDTalkを作ろう。
和訳してくださったTakahiro Shimpo 氏、レビューしてくださった Yasushi Aoki 氏に感謝する(2010年2月)。
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