toaster

トーマス・トウェイツ トースターを1から作る方法

「3.94ポンドのトースターは、100種類以上の異なる素材でできた400以上の小さな部品で構成されています」トーマスは語りかける。ここでは、100万ビューを超える Thomas Thwaites のTED講演を訳し、トースターを1から作る方法について理解する。

要約

1台のトースターが作られるまでにあらゆる文明の過程を経ることになります。デザイナーのトーマス・トウェイツは、鋼を得るために鉱石を採掘したり、油からプラスチックを精製したりするなど、いささか困難な方法で1からトースターを作る事を試みました。個人としていけるところまでいった事に実に驚かされるでしょう。彼は、デザイナーも消費者も同じであるという相互に繋がった社会の寓話を披露します。

Thomas Thwaites is a designer “of a more speculative sort,” he says.

 

1 銀河ヒッチハイク・ガイド

身の回りを見渡してみると 私たちを取り囲む多くのものは 世界の様々な土地に埋まった 色々な岩石や泥などが元になっています。もちろん 今は岩石や泥には見えません。テレビカメラやモニター うっとうしいラジオのマイクとなっています。この魔法のような変化について 私の取り組んでいる トースタープロジェクトとして 知られるようになりました。また SF作家であるダグラス・アダムスの 言葉からも着想を得ています。それは『銀河ヒッチハイク・ガイド』の1シーンからきています。それは 本に登場する20世紀の男性である主人公が 気づいたら技術レベルが原始的な人々が生活する 奇妙な惑星にたった1人でいたという場面です。そして彼はこう思います。この人達の 皇帝になって 彼らの社会を 20世紀の技術や科学の知識を用いて 変えてしまおうと。しかし 彼は 20世紀の人類文明なしには サンドウィッチが辛うじて作れるくらいだと気づきます。トースターなんて言うまでもありません。無論 彼はウィキペディアなんて使えませんでした。

 

2 100種類以上の異なる素材でできた400以上の小さな部品で構成

そこで私は 1から電気トースターを作ってみようと考えたのです。最も安い 電気トースターが 構造を知るために 最も簡単で 適しているという考えのもとで 最安のトースターを買い 家に持ち帰ったところ この物体の中身に 驚愕することになりました。3.94ポンドで買ったこのトースターには 100種類以上の異なる素材でできた 400以上の小さな部品で構成されていたのです。このプロジェクトを一生続けることはできません。期限は9か月でした。そこで材料を5つに絞りました。それは 鋼 マイカ プラスチック 銅 そしてニッケルです。

鋼から始めましょう。どうすれば鋼を作れるでしょうか? そこで 私はリオ・ティントの 先端採鉱講座を担当している 王立鉱山学校を訪れ どうすれば鋼を作れるのか聞いてみました。シリアーズ教授はとても優しく 丁寧に教えてくれました。おぼろげに覚えている中学の頃の科学を思い返すと 鋼は鉄で出来ているので 鉱山に電話しました 「トースターを作りたいので そちらに行って鉄を少し頂けますか?」と伝えました。鉱山に到着したところ レイに会いました。彼は私の言ったことを聞き間違えたらしく 私がポスターを作るために訪れたと思っていたため 鉱山に私を連れていく準備をしていませんでしたが しつこくお願いしたところOKになりました。

 

3 より小さい規模で取り組めば取り組む程、より過去へ遡らなければならない

(動画) あれはひだ状の石灰岩です。3.5億年前の 海の生き物たちと 温暖な天候の 元によって できたものです。地質学を学ぶと 過去に何が起きたが分かるようになります。実にものすごい変化がありました。

ご覧のようにクリスマスの飾り付けがされています。ここはもう 稼働している鉱山ではありません。レイは鉱山労働者でしたが 鉱山は閉鎖された後 観光地として再開されたのです。もはや 南米やオーストラリアで 行われているような規模の採掘は できないからです。何はともあれ スーツケース満杯の鉄鉱石を手にいれ ロンドンの鉄道経由で運んだものの ある問題に直面しました。この石からトースターの材料に するにはどうすればいいのでしょう?

そこで 再びシリアーズ教授を訪問したところ 「図書館に行きなさい」と言われたので 行きました。大学生用の冶金学の教科書を探しましたが 私が行おうとしていることには全く役に立ちませんでした。精錬工場もないわけですし 個人でやってみたい場合に 実際にどのように行うのかといった記載がないからです。そこで私は最終的に科学史図書館から この本に行きつきました。これは西洋において冶金学について 初めて書かれた教科書です。ご覧のように最終的に辿り着いたのが この木版画にあるような工程です。でもふいごの代わりに落ち葉を吹き飛ばす機械を使いました (笑) プロジェクトを通して何度も感じたのは より小さい規模で取り組めば取り組む程 より過去へ遡らなければならないということです。これが 一日半かけて 鉄を精練した結果です。取り出してみたところ 鉄ではありませんでした。運が良いことに オンライン上で 電子レンジを使った溶鉱炉に関する記事を見つけました。そして30分間 レンジを強で製鉄し続けた結果 鉄を作り終えることができました。

 

4 銅が含まれた鉱山水

次に (拍手) 次に入手しようとしたのが銅です。同じように ここも 世界で最も大きな鉱山だった場所です。でも今はもう違います。私を鉱山の中へ案内してくれる 引退した地質学教授を見つけました 「鉱山の水をいくらか持ち帰ってもいいよ」と言ってくれました。水を手に入れようと思った理由は 鉱山内に流れる水は 次第に酸性を帯びて 鉱山内の鉱物を 溶かしていくからです。その良い例がリオ・ティントで ポルトガルにあるのですが ご覧のように 多くの鉱物が溶け込んでいます。溶け込んでいる鉱物があまりに多いため 酸性で毒性のある場所を好む 細菌の住処になっています。アングルシー島の鉱山から 持ち帰った水には 金属製の 電気プラグに必要な 十分の銅が含まれていました。

 

5 絶縁体としてのマイカやプラスチックが必要

次に 私はマイカを得るために スコットランドへ旅立ちました。マイカは 絶縁体としてとても優れており 電気の絶縁効果が高い鉱物です。これはマイカを採っている私です。最後の材料としてお話させて頂くのはプラスチックです。もちろん 私のトースターにはプラスチックのケースが必要です。プラスチックは安い電化製品の 代名詞です。プラスチックは石油からできるので 石油会社のBPに電話し 30分程 BPの広報部門に交渉しました。もし彼らが私を 油田採掘装置まで連れて行き 石油をバケツ1杯分得られれば 素晴らしかったのですが BPは今ならもっと考えたでしょう。でもその頃は 彼らは交渉に応じず 「後ほど掛け直します」といって二度と連絡をくれませんでした。そこでプラスチックを作る他の方法を探しました。プラスチックは 植物由来の油やでんぷんからでも作れるのです。そこで ジャガイモのでんぷんから プラスチックを作ろうとしました。始めはとてもいい感じに進みました。このように 木の幹から作った 型に流し込みます。しばらくは とても順調に進んでいましたが 乾かすために外へ置いておいたところ 戻ってきた時には カタツムリにじゃがいものかけらが食べられていました。

 

6 WEEEの最前線アクシオン・リサイクリング

私はとてもがっかりして 別の視点から考えることにしました。地質学者によって名づけられた もしくは 名づけようと議論している 私たちが現在生きている時代を 新しい地質学的時代として 「人の時代 人新世」と呼ばれます。未来の地質学者は 今の地層から 急激な変化を観測することになるからです。チェルノブイリの放射能や 1945年以降 爆発した2000発以上の 原子爆弾のように大きな変化があったり 生物が絶滅してしまって 突然化石が見つからなくなるかもしれません。また 合成高分子や プラスチックなどといったものが 岩石に含まれるようになると思います。

そこで私はプラスチックを探しにいきました。私はこのような 現代の岩石を採掘しに行こうと考えたのです。マンチェスターに行き アクシオン・リサイクリングという場所を訪れました。欧州電気・電子機器廃棄指令 通称WEEEと呼ばれる 方針の最前線にあたる場所です。そこでは 今 この瞬間でも作られ続け 私たちの家庭にしばらく住み着き 最終的に埋立地へ向かっていく 山のようなモノと格闘しています。そんな感じで いよいよ完成です。

 

7 私のトースター

(音楽)(笑)これが私の トースターの写真です(拍手) これがケースを外した状態です。商品棚に陳列したときの様子です。ありがとう (拍手) ブルーノ・ギウサーニ:1回電源を入れたらしいね TT:ええ 入れてみましたよ。見えるかどうかわかりませんが ワイヤーに絶縁体を施すことが出来ませんでした。英国王立植物園からは しきりに ゴムの木に近づかないように警告を受けました。そのため ワイヤーの絶縁処理は行えず 240ボルトの 電流が自家製の銅のワイヤーと電源プラグに 流れました。そして5秒間ほど トースターが動いた後 残念ながら 発熱体が溶けてしまったのです。でも正直 部分的には成功したかなと思っていますけどね BG: トーマス・トウェイツでした (TT:ありがとう)

 

最後に

トースターは100種類以上の異なる素材でできた400以上の小さな部品で構成されていた。より小さい規模で取り組めば取り組む程、より過去へ遡らなければならない。1台のトースターから文明が見える

和訳してくださったYuki Okada 氏、レビューしてくださった Masayo Maeda 氏に感謝する(2010年11月)。

ゼロからトースターを作ってみた


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