前回は、ヒエラルキー構造がない完全フラットな場所 メディアと2ちゃんねるについてまとめた。ここでは、2ちゃんねるを潰すには代替する祭りや欲求を生め 小飼弾×ひろゆきについて解説する。
2ちゃんねる為政者側説に迫る
2ちゃんねるは為政者にとってありがたいものではないか。人間の中に何かが鬱積して問題を起こすような不満を、2ちゃんねるが抜いているのだから。昔はヤクザやどうしようもないゴロツキも社会の中に入れていたが、規制が厳しくなって根性とやる気はあるが能力が足りない人の行き場がなくなってきた。そういう行き場のない人たちにとって、2ちゃんねるはいい行き場所になっている。結局為政者のやることは、2ちゃんねるのような居場所を作ることしかないんだろう。
2ちゃんねるは中央のデータベースサーバーを作らなかったくらいで、技術的にはそれほど難しくない。日本のバックボーン回線の約20分の1をニコニコ動画がコンスタントに使っている。ルートの配分を誰がやっているかで名称が変わる。コンテンツプロバイダーがやっていればキャッシュサーバーといい、ISPではCGMと言っているだけ。
ヤクザはプライドとお金というわかりやすい2つがあって、それさえ害さなければ敵にはならない。国とヤクザの違いは合法かどうかだけ。組織があって構成員がいて食うためにお金が必要。合法か違法かだけで、企業ともあまり変わらない。本当に怖いのは「俺はここにいる」という欲を出さない人たち。そういう人はコントロール不能だから。昔は居場所のない人同士が新興宗教とかを作ったりしていたが、最近はそれすら許されなくなったので凶行に走る。
インターネットは稼げる
インターネットで稼ぐのは、方法論さえ間違わなければ難しくない。身体だけじゃなく脳みそにも汗をかけば堅い。一番難しいのは、1000万円から1億円の間のお金を集めること。1億から10億はそんなに難しくない。ただし、使うのは難しい。お金でお金を作るというのは、1000円をそのまま動かすのではなくて、1000円で借りられる1万円を運用するということ。
会社の価値を毎年の売上(キャッシュフロー)で見るか、資産(ストック)で見るかで価値は違う。時価総額は一元的な見方。いま世の中で一番取引されているものは通貨。日本国内で1日に300兆円くらい。株は通貨に比べれば100分の1くらいしか取引されていない。行き着くところはカネでカネを買うという行為。
思考の止め方がわからない
世界平和を考えるが、逆にどうすれば平和が壊れるかも考える。モラル抜きに選択肢を挙げて、その選択肢にどんな未来があるのかを考えてから行動に移す。米国のダムは空港よりもセキュリティが厳しい。「バカに育った」ほうが幸せ。日本の防犯意識は低すぎ。「王様は裸」と言ってはいけない文化。
プログラマーが目の前の問題を一つひとつ片付けていくと、いずれハードウェアの問題が出てきて、その原因を考えているうちに、最終的に問題の原因は経営者の判断が悪いことに気がつくことがある。普通の人は「自分の仕事はここまでだ」と判断するが、人によっては部署割・スタッフ配置など経営判断が悪いという気持ちになる。
世界が極端に狭くなった
インターネットがやったことは、世界を極度に狭くしたこと。
優秀な技術者は優秀な経営者なのか
2ちゃんねるのスクリプト(CGI)は、Perlプログラムが起動するとき、インタプリンタが起動してPerlのスクリプトを解釈した後コンピュータが理解して、その後データを拾ってきてHTMLに整形する。Perlを開発したラリー・ウォール「そのやり方はいろいろある」というスピーチが素敵。逆にPHPは管理者が作ったものが変わらない。ウィキペディア、ヤフーはPHP。
スケールアウト(サーバー数を増やし、パフォーマンスを向上させること)は難しい。コンビニの配送センターの設置を考えればわかる。2ちゃんねるは1日に200万件書き込まれても、各々サーバーが独立して動いているので問題ない。
為政者の最も重要なことは、何を捨てるかを決めること。何をやるべきかは技術者はみんなわかっている。技術的なことを解決するためには経営の知識も必要。逆に目の前の問題を解決するためには技術を知らないといけない。優秀なプログラマーの6割は口がうまい。会社がうまくいっているときは営業畑の経営者のほうが強いが、会社がうまくいっていないときに会社をつぶさずに頑張れるのは技術畑の経営者。サーバを「make world」して作っている人と、それを使っている人とでは視野が変わってくる。デフォルトだと500以上はつなげられない回線を変えるために、アパッチ自体のコードを変えるOSのチューニングコマンドのこと。
みんなハードウェアに縛られている
プロセッサが安くてメモリが高かった時代と、メモリが安くてプロセッサが安かった時代で、通念の理論は全然違う。ソフトウェアの考え方は、ある程度ハードウェアの考え方で縛られている。人間に関しても同じ。
本当に必要な技術
プログラマーの世界では見せかけの権威は作りづらい。わかる人はわかるが、わからない人には全くわからないからだ。開発環境の「Eclipse」は起動が遅い。しかし、JavaをやるときはEclipseを使う。Eclipse自体がJavaで書かれているから。本当に必要な技術は捨てること。
人間I/Oデバイスはしょぼい
人間の脳のスループット(時間単位の処理速度)は高い。しかし、人間の入力出力のI/Oはしょぼい。例えば、モニターは大きすぎると視線を変えなければならないため、100インチにはならない。40インチ液晶でパソコンを操作しても、視線を変えるだけで大変。50インチの次は100インチでなく、液晶の次は有機ELだと考えられるのが優秀な技術者。今求められているのは、皮膚に触るインターフェイスの進化。
2ちゃんねる、中国進出か
為政者として優秀だと思うのは、参勤交代を作った徳川家光。一見無意味に見えるシステムは、生かさず殺さずという意味では重要。2ちゃんねるは中国がそのうち独自で作るだろう。仮に為政者が2ちゃんねるをつぶそうとするならば、2ちゃんねるに代わるほかのお祭りや欲求を生めばいい。
最後に
国とヤクザの違いは合法かどうかだけ。本当に怖いのは「俺はここにいる」という欲を出さない人たち。一番難しいのは、1000万円から1億円の間のお金を集めること。米国のダムは空港よりもセキュリティが厳しい。為政者の最も重要なことは、何を捨てるかを決めること。プログラマーの世界では見せかけの権威は作りづらい。今求められているのは、皮膚に触るインターフェイスの進化。会社が好調時には営業畑の経営者のほうが強いが、不調時に会社をつぶさずに頑張れるのは技術畑の経営者。本当に必要な技術は捨てること。
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