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ケイト・ハートマン 身に着けられる情報伝達の芸術

「自分と話す帽子、エアーハート、氷河抱擁スーツ…なんだかわかりますか?」ハートマンは語りかける。ここでは、75万ビューを超える Kate Hartman のTED講演を訳し、身に着けられる情報伝達の芸術について理解する。

要約

芸術家ケイト・ハートマンは装着型電子工学を使って人間同士での情報伝達の方法、そして人間と世界との情報伝達の方法を探究しています。気まぐれで示唆に富む話の中で、ハートマンは「自分と話す帽子」「エアーハート」「氷河抱擁スーツ」など予測不可能な器具を紹介します。

Kate Hartman creates devices and interfaces for humans, houseplants, and glaciers. Her work playfully questions the ways in which we relate and communicate.

 

1 私は芸術家・技術者・教育者を兼ねている

私の名前はケイト・ハートマン 人と触れあったり 意思疎通をして楽しめる 器具を作るのが趣味です。特に人としての対人コミュニケーションや 世界との関わり方について 関心を寄せています (笑) 少し私の経歴を紹介します。私は芸術家・技術者・教育者を兼ねています。物理的コンピューティングと 装着型電子工学を教えていて 主に装着できるものや 人体に関わるものを扱っています。

私の仕事を紹介する時は 常に人体の重要性を 手短に説明するよう心がけています。答えはとても簡単です。誰もが備えているからです。お洒落な椅子に座っている方も 最上段でPCを使っている方も この部屋の皆さんは疑いなく 身体を持っています。恥じないで下さい 身体は万人に共通してあるもので 世界のインターフェースの役割をします。コミュニケーション・デザイナーあるいは 参画を扱う芸術家として 人体と共生する物を作る仕事は 非常にやりがいがあります。

 

2 「ボソボソ帽子」「自分と話す帽子」

私の作品には 様々な素材や道具を使います。例えば 情報伝達のためにラジオ受信機・じょうご ・チューブ等を使います。私の作品を紹介をするなら まずは 帽子の話がいいでしょう。全ての始まりは数年前 夜遅くに帰宅途中の地下鉄で 考え事をしていた時でした。私には考えすぎて言葉が出なくなる癖があります。当時もある事を考えていました。もし 頭の中の考え事という 雑音を物理的に取り出し それらを他人と 共有できる形にできれば どんなに素晴らしいかと考えていました。帰宅後 この帽子の試作品を作りました。名前は「ボソボソ帽子」です。理由はこの帽子があなたを縛るような ボソボソ音を出すからですが これらの雑音を取り出して 他人と共有できるのです(笑)

他の帽子もあります。これは「自分と話す帽子」です (笑) 説明は要りませんね。物理的な会話スペースを作ってくれます。大声で話せば その声が実際にあなたの耳に帰ってきます (笑) こういった物を作ると 物体自体ではなく、それを取り囲む 負のスペースが問題だと分かります。これを人間に装着すると何が起こるのか どんな体験をするのか そして どのような影響を与えるのか。

 

3 身につけることで自己表現ができる外部臓器「エアーハート」

こういった器具の多くは 自分自身と上手く関われるように作られました。この特別な器具は「内臓聴診器」です。これを使えば 内臓の音を 自分自身で聴き取れます (笑) いくつかの器具は意思表現や情報伝達に 大きな重点を置いています 「エアーハート」は 身につけることで 自己表現ができる外部臓器です。感情次第でエアーハートを膨らませたり 萎ませたりできます。つまり 感嘆・渇望から心配・懸念までの 全ての感情を表現できます(笑) 幾つかの器具は経験を 仲介するために作られました 「相互不達装置」は口論用です (笑) 実際に激しい感情の交換を可能にしますが 飛び交う言葉の攻撃性を 和らげる役割を果たしています (笑) 最後に これらの幾つかは 誘因の役割をします 「耳傾け器」には突出物が付いていて 人が耳を掴んで言いたい事を 言えるようになっています

私は対人関係に興味を もっていますが 人々と周辺環境との関わりにも 興味があります。数年前に初めてNYに住んでいた頃 ある事をしばしば考えていました。馴染みの深い建築様式と それとのより良い関わり方についてです。考えました「よし 壁と仲良くなりたいなら 私自身が壁みたいにならなきゃ」 そこで私はリュックのように 背負える壁を作りました。これを背負えば なんとなく 物理的な変化が起こって 自分を取り巻いていた空間を 賞賛あるいは批判できるんです(笑)

 

4 人間と氷河の関係

これがきっかけで人工的な環境を超えた 自然界的な発想が生まれました。「植物電話プロジェクト」が現在進行中です。これは室内用鉢植え植物から 人間への情報伝達を図る物です。植物が水を求めれば 電話をかけるかまたは Twitterなどでメッセージを投稿します。これによって人間・植物間の力関係が変わります。なぜなら一鉢の植物が実際 自己の要求を同時に 何千もの人々に伝えられるからです。

規模について考えるなら 私は最近氷河に 夢中になっています。素敵ですよね。氷河は壮大な存在です。心を奪われる理由は多くありますが 特に興味があるのは 人間と氷河の関係です (笑) 問題があるようだからです。実際に人間を離れつつあります。氷河は沈んで融解されていき 一部はすっかり消えています。

実は今 カナダに住んでいて 地元の氷河に通っています。この氷河は特に面白いです。というのも北米の氷河の中で 1年間に人々が最も訪れる所だからです。実際に側堆石の向こうまで行くバスがあり 氷河の表面上に客を降ろしてくれます。

 

5 人体と氷河との間の温度差を媒介する働きを持つ「氷河抱擁スーツ」

私は氷河との最初の出会いを 考えざるを得ませんでした。初めて氷河を訪れた時 私は何をすればいいのか? 人間・氷河間の社会的慣習は何もありません。どうやって挨拶をしていいかも わかりませんでした。雪にメッセージを彫ればいいのか? もしくは砕いた氷を並べて モールス信号を 作るべきなのか? あるいは氷面につけると 自分の声を増幅できる 氷のメガホンのような 器具を作る必要があるのか? しかし最も快適だったのは どんな関係を築くにも必要な 聴く行為をした時でした。

聴く行為の凄さに感動したものです。自分の姿勢の根本的な変化によって 氷河に対する私の視点も 変えることができました。最近では世界との接し方を 見つけるために私たちは器具を使っているので 実際に「氷河抱擁スーツ」を作りました (笑) これは熱反射素材で作られていて 人体と氷河との間の温度差を 媒介する働きがあります。繰り返しますが これは誘因であり 人々に氷河に横たわって ハグをして欲しいと頼んでいます。

 

6 感嘆と批評の念を兼ね備える

これは単なるきっかけですが プロジェクト本来の目的なのです。壁を使って壁のようになりたかったように このプロジェクトは氷河のようにゆっくりと進めたいです。私の思惑では この先10年を共同プロジェクトに使って 芸術家・技術者・科学者など異なる分野の方たちと 一緒にプロジェクトを進め 人間と氷河との関係を 改善するための策を 共に探っていくつもりです。

最後にプロジェクトの紹介より重要なことを言います。私たちは情報伝達と器具まん延の時代にいて それは本当に強大で魅力や刺激もあります。しかし本当に重要なのは 私たちが使う器具や 世界との関わり方に対して どうやったら感嘆と 批評の念を同時に兼ね備えられるかを 考えることだと私は思います。ありがとうございました(拍手)

 

最後に

私は芸術家・技術者・教育者を兼ねている。「自分と話す帽子」。身につけることで 自己表現ができる外部臓器「エアーハート」。人体と氷河との間の温度差を媒介する働きを持つ「氷河抱擁スーツ」。感嘆と批評の念を同時に兼ね備えよう

和訳してくださったNaoki Funahashi 氏、レビューしてくださった Takahiro Shimpo 氏に感謝する(2011年3月)。

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