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グーグルのすごさは企画力、営業力、サーバメンテナンス ITのウソ

「2ちゃんねるが潰れないのはこれほど大きな掲示板を運営している人がほかにいないから」著者は端的に話す。ここでは、ひろゆき『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』を6回にわたって要約し、人が会話をすることとインターネットの本質について理解する。第1回は、ITのウソ。

2ちゃんねるが潰れない理由

2ちゃんねるが潰れない理由は、2ちゃんねるの閲覧者がいるからである。2ちゃんねるが潰れる原因は、①金銭的な問題、②社会的な問題、③法的な問題の3つがある。しかし、①は広告収入で運営費を賄えているし、②は社会的に危険という発言者が強制力を持たない限り変わらないし、③は「2ちゃんねるはアメリカのサーバーでアメリカのサービス」と言い張れば日本の法律が通用しないという現実がある。

 

2ちゃんねるの未来

2ちゃんねるの未来はわからないが、2ちゃんねるに似たサービスは残り続けるだろう。それは需要があるからであり、インターネット上にいるおもしろい考えを持った人を探す際に、2ちゃんねるを使わないとなかなか探し出せないという現実もある。2ちゃんねるが存在する理由は、単に2ちゃんねるほどの大きな掲示板を運営している人が他にいないからにすぎない。

 

Web2.0はマイナスイオンと同じ

Web2.0とは、フリーソフトウェアとオープンソース運動の支援者であるティム・オライリーが提唱した概念である。明確な定義があるわけではなく、Webを利用した新しいビジネスモデルであれば、何でもこの言葉が使われている。Web2.0というキーワードは、マイナスイオンの本質を知らないのにマイナスイオンが流行してしまったのと変わりがないだろう。

 

グーグルのオープンソース

大手検索サイトのグーグルは、検索以外にも衛生地図サービスや無料のWebメールなど、多くの無料サービスをユーザーに提供している。その中にはAPI(Application Program Interface)の公開がある。APIの公開とは、提供しているサービスの一部をユーザーが改良し、他のサービスの一部として組み込むことができるよう、データの一部を公開することである。ただし、APIは1日に使用できる回数に制限があるため、大規模なWebサイトでは使用しにくい。それでもグーグルがサービスを展開し続けるのは、広告収入や株式市場で集めたおカネの使い道がないからだろう。

 

「Don’t be evil」はこう訳す

グーグルは企業の標語として「Don’t be evil」つまり「邪悪になるな」という言葉を掲げている。この標語は、独占状態で他者に効率の悪いことを押しつけない、ユーザーにサービスを利用してもらう上で意図的な操作などを行わない、という意思表示である。しかし、「○○しない」と堂々と言うことは「いつか自分は○○するよ」という意味だと著者は考える。そもそも「邪悪になる」ということを想像していない人には、そんな言葉は思いつかないからだ。また、グーグルの企業イメージが悪くないのは、グーグルがユーザーから直接おカネをとらずにサービスを提供していることも関係しているだろう。

 

A株とB株

グーグルでは、A株の10倍の議決権を持つB株を経営にかかわる人間が保持している。議決権で見ると、創業者2人で5割強、他のグーグル関係者を含めると7割強を握っている。つまり、グーグルは「自分たちが経営を独占している状態でもいい、という人だけ株を買ってくれ」と言っているのだ。

 

すごいのは企画力と営業力とサーバーメンテナンス

グーグルの検索システムのすごさは、論文において引用される数が多いほど素晴らしい論文であるという100年前から学会で言われている論理を、検索に応用できると気づいたというアイデア(企画力)だ。また、検索などのアルゴリズムを考え出し、他の会社が追いつく前にサービスを普及させたという営業力がすごいのだ。

営業力のすごさの具体例は、ISP(Internet Services Provider)が行っていた利益にならない検索サービスを代行したところにもある。グーグルの初期は、ISPなどがポータルサイトにグーグルの検索機能を載せると広告費を払っていた。そして、ある程度グーグルは便利だということをユーザに気づかせた後、グーグルの検索機能をISPが使用するための料金を課金し始めたのだ。グーグルの検索が便利だと感じていたユーザーはグーグルのサイトに移っていき、ISPはグーグルに差を付けられていったのだ。その後グーグルは、検索連動型広告というシステムで稼ぎ出せることに気づき、他のISPよりも先に広めていったのである。

優秀な企画力と営業力の他にグーグルがすごいものとして、サーバメンテナンスがある。サーバ(パソコン)は1年に1回くらい壊れるため、10万台のサーバを導入していると年間10万回(1日当たり約274台)が壊れる。サーバが壊れる箇所や頻度は未知数なため、それらをいかに素早くメンテナンスを行っているかを想像すると、すごい仕組みができているのだろう。

 

はてな?

はてなはシステムやサービスを実現してリリースする速度などは優秀である。しかし、技術的には大したことはない。例えば、ブログ内の単語に自動的にリンクがつくというソースコードを見ると、当初はものすごい量を羅列しただけのものだったのだ。なお、現在ではより効率的なものになっている。

 

「大麻」で検索してみる

ミクシィ内の検索で「大麻」と検索すると、ものすごい量の検索結果が出てくる。しかし、「健全である」というイメージをつけていたため、あまり取り上げられることはなかった。また、ミクシィは構造的に外から見えないようになっているため、問題が起きている場所を探すのが大変なのだ。

 

IT企業の時価総額

人々が何におカネを使っているかということと、企業の時価総額というのはリンクする。しかし、なぜかネット系の上場企業は売っているものがあるわけでもないのに、時価総額が高い状態である。

 

もしも堀江貴文が逮捕されていなければ

時価総額といえばライブドアである。ライブドアの元社長の堀江貴文氏が逮捕されたことで、ライブドアは上場廃止となった。当時のライブドアは、既存で流行しているサービスを見つけると、自社で作れない場合には買い取ってしまうという方式をとっていた。これは、才能のある人がおもしろいものを作り出す原動力になっていたため、堀江氏が逮捕されたことでそうした挑戦心が失われたのは残念である。

 

企業が儲かっても国民は儲からない

企業が儲かり株価が上がると、株主が利益を得る。しかし、2006年の日本国内の株式市場で全売買額の過半を占めていたのは外国人投資家である。つまり、企業が儲かって国民が儲かるわけではなかった。

 

孫正義の怪気炎

ソフトバンクの孫正義氏は、2006年に携帯電話会社ボーダフォンを2兆円弱という額で買収した。この買収はスキームとしてソフトバンク自体が損をしないものになっている。銀行からの融資を受けた時点での名義はソフトバンクになっているが、ボーダフォン自体がダメになると銀行の債権もなくなるのだ。孫氏は「自分はもう死んだようなものだから、残りの人生は好きなことをやっていこうという諦めがあった」と語っているが、それにしても不屈の挑戦心は怪気炎を放っている。

 

最後に

2ちゃんねるが潰れないのは閲覧者がいるから。Web2.0はマイナスイオンと同じ。Googleのすごさは企画力、営業力、サーバメンテナンス。堀江貴文氏は、才能のある人がおもしろいものを作る原動力。孫正義は怪気炎を放っている。2ちゃんねるが潰れないのは需要があるから

次回は、BtoCで成功している企業はBtoBで失敗する インターネットの未来についてまとめる。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)


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