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名目4%成長、減反廃止、発送電分離 みんなの党の基本政策

前回は、予算査定権と国税査察権が力の源泉 財務省支配のカラクリについてまとめた。ここでは、名目4%成長、減反廃止、発送電分離 みんなの党の基本政策について解説する。

経済成長なくして財政再建なし

「経済成長なくして財政再建なし」日本では小泉純一郎政権時代、米国ではクリントン政権時代で明らかになっていることである。小泉政権では、1.1%の名目成長によって、5年間で22兆円も財政赤字が減ったのである。もし22兆円もの財政赤字を消費税増税だけで賄おうとすれば、9%の増税が必要になる。クリントン政権では、平均5.7%の名目成長によって、1998年に約3000億ドルの財政赤字を黒字化した。このように、財政赤字は経済成長でこそ解消していくのである。

著者やみんなの党は「4%名目成長を目指す」としている。日本はマイナス1%前後の物価下落(デフレ)が続いている。他の先進国は平均2%前後の物価上昇だから、その差がおよそ3%。このギャップを埋めれば、日本も名目4%成長が見えてくるのである。

 

デフレから脱却する方法は?

デフレとは一般的な物価水準の持続的下落のことである。耐久消費財などの個別品目の価格の下落のことではない。デフレから脱却するには、金融緩和政策によってお金の量(ベースマネー)を増やせばよい。なお、物価の下落と人口増減は関係がない(日本のデフレは人口減少が原因なのか人口増減と「物価」は実は関係がない参照)。

実際にベースマネーを増やす前に、日銀などの中央銀行が金融緩和への意思を表明すれば、人々にインフレ予想をさせることができる。そうすることで、人は「将来、物価が上がる」と思い「今買っておいた方が得だ」と考えてモノやサービスを買うからである。そして、モノやサービスが売れればそれを提供する会社の収益が上がり、そこで働く人の給料も上がって、そのお金でまたモノが売れていくのである。

 

日銀はもっと市場にお金を回すべき

こうした現象は為替相場にも当てはまる。円のマネタリーベース(世の中に出回っているお金の総額の基となる通貨:現金通貨+日銀当座預金)の残高はほぼ横ばいで、日銀は市場にほとんどお金を追加していないため、相対的に円が希少価値になっているのである。

日銀は、いったんお金を出したように見えても、その後すぐに市場からお金を回収してしまう。つまり、買いオペ(市中の国債を買うこと)の対象となる国債は、2年債のように期間が短いものや満期間近のものが多いのである。

そこでみんなの党は「日本銀行法の改正案」を提案している。政府と日銀が協定を結び「名目4%成長」を共通の目標とする。そして、目標が達成できない場合は、政府・日銀双方で要因を分析し、追加の対策を講じるのである。

また、為替レートの決定には、中期的には「実質金利」が重要な要因となる。実質金利とは、名目金利から物価上昇率を引いたもので、物価変動を含まない本当の金利水準のことである。実質金利が高い通貨を買った方が収益は上がるため、投資家は円を買うのである。つまり、円高対策は、適正なインフレを促し、実質金利を低くする必要があるのだ。

 

4%名目成長はこうすれば実現できる

4%名目成長を実現するためには、2%のインフレターゲット(物価上昇率の目標)を決めることが有効である。インフレターゲットとは、一般に、中央銀行が一定の物価上昇率を目標として定め、その目標を達成するまで金融緩和をすることである。1990年にニュージーランドで採用されて以来、英国、カナダ、韓国など20カ国以上で採用されている方法である。2012年1月25日、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が、2%のインフレターゲットを導入すると発表し、先進国でこれを導入していないのは日本だけとなった。

そこで、日銀も同年2月14日、「中長期的な物価安定のめど」として「当面1%」の消費者物価指数の上昇率を目指すことを公表した。しかし、その規模もスピード感もはるかに欧米に及ばないのである。

ここで、経済学では経済成長は「資本+労働+生産性」で決まるとされている。労働については、日本は少子高齢化によって労働力人口が長期的に減少傾向にあるため、女性や高齢者の活用においても限界がある。そのため、資本ストックの増強(設備投資の促進)と生産性の向上(技術革新)を図っていかなければならない。

具体的には、法人税率の世界水準(20%程度)への引き下げ、科学技術・研究開発への予算の重点投資が必要である。さらに、資本や労働を非効率な衰退分野から成長分野へシフトしていける税制、財政、規制改革も必要である。

 

農業や教育、福祉の規制を抜本改革せよ

これから有望な成長分野は、福祉、教育・子育て、農業、エネルギーなどとされている。しかし、これらの分野では、福祉なら社会福祉法人、教育なら学校法人、農業なら農業生産法人などと、各省庁の縦割りで規制の網がかけられている。そもそも問題があれば、該当する「行為」を規制すればいいのであって、始めから「法人」や「業界」に対して規制する必要はない。こうした業務独占は原則として廃止し、そこに株式会社やNPO法人などを自由に参入させられるような改革が必要である。

 

日本の農業はこうすれば再生する

日本の農業を再生させるためには、「減反政策」を段階的に廃止する必要がある。減反政策とは、コメの作付け面積を年々減らしていくことでコメの需給を政府が人為的に調整し、コメの値段を高止まりさせる政策である。つまり、消費者は高いコメを買わされているのだ。現在は水田の4割が減反対象となっている。減反政策の廃止をすれば競争力のない兼業農家が退出し、専業・主業農家への農地集約化が促進され、生産性の向上が図れる。

ただし、農家の農業所得は減るだろう。しかし、その場合は生産性の向上によって輸出が増えたお金で、意欲のある専業農家を中心に直接支払による所得補償を行えばいい。一方、民主党の「個別所得補償」は意欲のない人にも所得補償を行うので、単なる選挙対策にすぎないのだ。

また、規制緩和によって農業への新規参入を促進することが重要である。具体的には、株式会社の農地取得を可能にしたり、農業生産法人の要件(役員・出資制限等)を緩めることが考えられる。現在は「農業生産法人は役員の過半数が常時農業に従事している者でなければならない」とか「農家以外の者が出資できるのは資本の半分未満に限る」といった規制があるのである。

さらに、農地の転用規制を厳しくし、兼業農家や跡継ぎのいない農家に農地を手放してもらい、専業・主業農家に集約して生産性を上げていけばよい。「作ったものを売る」農業から「売れるものを作る」農業へ、変わらなければならない。

 

農業は保護するから衰退する

農業は保護するから衰退している。現に、ウルグアイラウンド対策費で8年間に6兆円の税金をばらまいても、コメに778%もの関税をかけても、農業の競争力は衰えるばかりだった。生産額はピーク時の3割減で8兆円強(GDPの1.5%)しかなく、その間、岩手県と同じくらいの広さの農地が失われ、埼玉県と同程度の広さの休耕地が放置され、農業従事社の高齢者(65歳以上)比率は6割以上に上り、65歳未満の男性のいる専業農家は7%なのだ。

今こそ以下の5つの施策のような「平成の農地改革」を行うことが求められているのである。

  1. 減反の廃止→米価の下落→輸出競争力
  2. 農地の集約化(調整機関・平成検地・税財政支援)
  3. 頑張る農家(専業・主業中心)に直接支払
  4. 新規参入の促進(株式会社、農業生産法人等)
  5. 転売規制(ゾーニング)の強化

 

TPPは日本にとって必ずプラスになる

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、基本的に100%の貿易自由化を目指しているのが特徴である。従来のFTA(自由貿易協定)の場合は、自由化の例外を10%程度認めるのが通例だった。「自由貿易の経済的恩恵ほどエコノミストの意見が一致する問題はない」と竹中平蔵氏が語るように、TPPによって自由主義経済の発展に寄与できるのは間違いない。

また「安保防衛上の配慮と国内の構造改革加速の面でTPP脱退と言う選択肢はない」と長谷川幸洋氏が語るように、アジアの安全保障や農業をはじめとした国内の構造改革の面でプラスになることが多いだろう。

さらに、貿易総額に占めるFTA相手国との貿易額の割合を見ると、米国38%、EU30%、韓国38%、中国21%と比べ、日本は16%とかなり出遅れている。特に韓国は、米国、EUとの間でFTA書名に至っており、日本企業が国際競争に取り残されないためにも参加が必要である。

 

TPP反対派は大競争化の危機感を持つべき

こうした国際競争を薄型TV市場から見ていく。日本の外に出れば、サムスンやLGといった韓国製のTVが世界を席巻している。直近の欧州シェアでは、サムスンが19%、LGが13%、ソニーが10%となっている。また、2012年7月に韓国・EUのFTAが発効し、韓国メーカーには薄型TVの14%の関税がなくなった。これは関税分、安く販売できるということである。

また、米国と韓国との関係では、カラーTVは5%、乗用車は2.5%、トラックは25%の関税がなくなった。世界全体で日本車メーカーは車の関税を年1400億円(前者の経常利益の1割分)払っているが、関税がなくなればこれがなくなる。つまり、国内に工場を建てるよりも、韓国に建てた方が安く車を売れる状況になってしまっているのである。

 

東電は法的に破綻処理すべき

東電の賠償スキームは、ルール無視の、被災者より東電救済のためのスキームである。このスキームでは、東電はそのまま上場を維持して事業形態も存続し、株主や金融債権者(メガバンク)の責任は問われない。そして最後は、電気料金値上げや借金(国債)という形で、国民が尻拭いをさせられるのである。

原理原則から考えれば、最優先すべきは原発事故の被災者への必要かつ十分な賠償と、電力の安定供給である。東電は債務超過状態なのだから、何らかの破綻処理に入るのが筋である。そして、賠償責任を負う順番は「東電、株主、金融債権者、国」というのが金融市場のルールである。最終的には国が賠償責任を負うことも明確にすべきである。そのための予算もすぐに国債に頼ることなく、原発関連予算4000億円超や原発埋蔵金(3.5兆)、足りなければこれまで述べてきた特別会計の埋蔵金も使えばよい。

 

「発送電分離」は一石三鳥の特効薬

発送電分離(発電部門と送電部門を分離すること)のメリットは、①電力料金の低下、②代替電力や埋蔵電力の活用、③「脱原発依存」への電力供給構造の転換という意味で一石三鳥といえる。

電力会社は独占企業だが、現在の技術革新によって発電部門については新規参入が可能となっている。発電部門と送電部門を分離し、「発電ビジネスをやっている巨大企業が同時に送電線を持っている」という状況を打破することで、市場は拡大するだろう。これは電話・通信サービスの進化を見ればわかりやすい。日本の電気料金は、イタリアについて2番目に高いと言われているが、発送電分離によって改善されるだろう。

代替電力とは、自然エネルギーをはじめとした地域分散型の小規模電源のことである。これまで電力会社側はこうした電力の受け入れ枠を極度に制限していたが、発送電分離が実現すればエネルギー開発も一層促進されるだろう。埋蔵電力とは、鉄鋼や化学会社が保有する自家発電所などの電力のことである。コストの高い火力が多いため非常用電源として使われる場合が多いが、いざというときに計画停電を避けるための電力供給源として活用が可能である。

 

「原発ゼロ」でピンチをチャンスに

今回の事故で、原発に関する「3つの神話」が崩れた。1つは、原発は絶対に安全だという「原発安全神話」。2つめは、原発のような大規模集中電源が電力の安定供給を確保しているのだという「安定供給神話」。3つめは、「原発は安いという神話」である。

原発のコストは、1キロワット当たり5〜6円というのは嘘で、実際は「15〜16円」である。また、電源立地交付金のようなコストや再処理の費用もかかる。さらに、今回のような事故の賠償リスクもあり、原発の安全基準を見直せばハード面のコストも上がる。つまり、原発のコストは20円を超えるかもしれないのである。

みんなの党では「将来の原発ゼロ」を訴えている。電力の再編自由化の道筋を示した工程表では、まずPPS(Power Producer and Supplier)という特定規模電気事業者の参入障壁を取り払う。例えば、東京立川市の競輪場は、2010年に東電からPPSトップの企業に契約を変えたところ、年間6200万円払っていた電気代が4500万円になったのである。電力会社の送電線を借りるための障壁を取り払えば、こうした例は増えていくだろう。

また、PPSの供給を家庭部門にも開放することができれば「電力会社は国民が選べる」ということになるのである。電力の地域独占の廃止や発送電分離を含む電力の再編自由化を実現すれば、電気料金が下がり、電力の安定供給が図れ、将来の脱原発も見えてくるだろう。

 

最後に

2013年3月、黒田東彦日銀総裁が誕生し「2年で2%の物価上昇を目指す」というインフレターゲットが取られた。TPPには参加表明し、交渉もスタートしている。一方で、原発問題はそれほど進まず、復興政策も鈍い状態だ。安倍政権のもとで着実に改革は進んでいる。脱官僚・地域主権で国のかたちを変えるみんなの党

財務省のマインドコントロール


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